新しくDPP- 4阻害薬が処方になった患者さんへ交付をしていたら、
2年位前に急性膵炎で入院したことがあると言われ、
添付文書の副作用に膵炎って書いてあるけど大丈夫なのか?
と疑問に思ったので調べてみた。
(その場は、Drへ既往を報告後、 膵炎の初期症状をおさらいしそのまま交付した)
膵炎既往の人に対して使用した際のリスクについては試験がなさそうなので、
一般的にDPP- 4阻害薬を使用した場合の膵炎リスクについて調べてみる。
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P 2型糖尿病の患者
I GLP-1作動薬、DPP-4阻害薬
C プラセボ、生活習慣の改善、他の糖尿病薬
O 急性膵炎発生数
システマティックレビュー
<検索>
対象:12週以上のランダム化比較試験、比較試験、 コホート研究、症例対照研究
データベース:Medline、Embase、CENTRAL、 ClinicalTrials.gov
言語:制限無し
<文献抽出と評価>
独立して2名で行い、不一致は話し合い、 合意が得られない場合は第3者が解決
<risk of bias>
介入試験:コクランのrisk of bias ツール
観察試験:Newcastle-Ottawa 品質評価スケール
出版バイアスは評価していない
<結果>
RCT・・・55試験(33227人)のメタアナリシス
incretin 23 / 20127
control 14 / 13100
OR 1.11 (0.57 to 2.17 , I2=17%)
観察研究・・・3件のコホート研究、2件の症例対照研究
JAMA Intern Med. 2013 Apr 8;173(7):534-9. 以外はORは1付近で有意差なし
(メタアナリシスはしていない)
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RCTで0.11%、コホート研究で0.47%の発生率で、
インクレチン関連薬で膵炎のリスクが増えるとはいえないそう。
サブグループ解析でDPP-4群だけ見ても余り結果は変わらない様子。
ただRCTは、異質性は低めだけれど、
発生率が低く各試験の標準誤差が大きいので、 正確性は低いかも?
一応、上で記載のあった症例対照研究も見てみる。
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P Blue Cross Blue Shieldの保険に加入している18~64歳で
2005/2/1~2008/12/31に2型糖尿病と診断され薬物治療を受けた人
I エキセナチド、シタグリプチン
C それ以外の糖尿病薬
O 急性膵炎による入院
110万人のデータベース解析による症例対照研究
<症例>
期間中の任意の時点で急性膵炎で入院の記録があった人
(1回目の処方から3ヶ月以内は除外)
<対照>
年齢、性別、加入保険、DSCI、加入パターン、追跡期間、
が症例群と同じようになるようにランダム抽出
<交絡因子>
高脂血症、飲酒、喫煙、胆石、肥満、胆管/膵臓癌、嚢胞性線維症、がん
医療費の水準(resource utility band)
(条件付ロジスティック回帰解析で調整)
<結果>
エキセナチド、シタグリプチンの使用歴あり
調整OR 2.07 (1.36 - 3.13)
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DPP-4阻害薬によって急性膵炎のリスクが、
増えるか、増えないかはよく分からない(あまり変わらなさそうではある)けど、
発生率自体も低いから日常ではあまり気にしなくてもよいのかも知れない。
しかし、日本だと実際に使われている第一選択薬がDPP-4阻害薬になっている
ような印象もあって、処方が良く来るので気にした方が良いのか??
ような印象もあって、処方が良く来るので気にした方が良いのか??
そのもそも膵炎の既往があるとまた膵炎になるリスクって高いの?
患者さんはあんまり気にしてなかったけど、
こないだのはどう対応したらより良かったんだろう。。