2015年9月11日金曜日

メサラジンの高用量の有効性は8週間まで?

メサラジンの寛解導入を目指す場合の高用量は
添付文書上8週までの制限があると初めて知った。
 
 
正確には、ペンタサ4000mgとか、アサコール3600mgだと、
「8週を超えた場合の安全性・有効性は確立していない」と書いてある
 
減量すると炎症が再燃するからと
添付文書上の最大量を使っている方が、何人かいたので普通だと思っていたが、
用量確認の疑義照会が8週を超えると一応必要だったらしい。
 
 
 
8週を超えた有効性、安全性の試験はないかな?
と思い探してみた。
ぱっと見つけられたのが下記。
 
 
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P 4.0g/日のメサラジンによる寛解導入療法を受けた潰瘍性大腸炎の患者
I  長期間治療(105日より長期)
C 短期間治療(105日以下)
O 再発頻度、治療開始から再発までの期間
長崎IBD研究グループのデータ解析による後向きコホート研究
<コホート>
2008年1月~2012年3月の期間に
Nagasaki IBD study group 内の病院、医院で、
メサラジン4g/日の寛解導入療法を受けて改善~寛解した人人
アザチオプリン/メルカプトプリンを併用した人は除外(24名)
180人治療→139人寛解→115人解析
<メサラジン服用期間の数え方>
4.0g/日メサラジン開始~4.0g/日メサラジン服用中止
4.0g/日メサラジン開始~2012.9.1
(中央値が105日)
<記載されている交絡因子>
年齢、性別、罹患期間、大腸の炎症の範囲
2群間の差を検定。多変量解析による調整はなし。
 
<outcome>
長期服用(57人 服用期間:425.7±267.7日)
  再発17人  (29.8%)
  再発までの期間 425.6±243.8日
短期服用(58人 服用期間:54.5±25.6日)
  再発28人  (48.3%)
  再発までの期間 277.4±224.5
 
副作用:下痢、呼吸困難、肝機能障害、薬剤性エリテマトーデスが1名ずつ
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服用期間を比べると、添付文書どおり8週vs長期服用という感じ?
 
長期服用群では、
再発人数は少ないけど、平均再発期間と平均服用期間がだいたい同じ
というのはどう解釈したらよいんだろう・・・
観察研究だから、長期服用群に維持量だと再発しやすい人が多い?
Drが経験上悪くなりそうな症例だから、4g/日で継続させたとかもあるのかな?
 
 
結果としては、4g/日を寛解導入後に飲んでいれば、
通常用量へ戻すと再燃する人でも寛解維持ができるかもという傾向にはあるみたい。
副作用は通常用量に比べて多いのかは判断が付かない。
 
 
 
添付文書に書いてある8週以上の有効性の確証が全くないわけではなさそう?
 
再審査期間もペンタサは2006年、アサコールは2013年に終わっているから、
疑義照会をする際は、すっとこどっこいな聞き方をしないように気をつけたい。