ピロリ菌の除菌用のパック製剤が
処方になった患者さんの薬手帳を見たら、
皮膚科からシナール配合顆粒が処方されていて、ずっと飲んでいる。
シナール=アスコルビン酸+パントテン酸Ca
↓
アスコルビン酸:酸だから酸性
↓
胃のpH下げるから除菌に良くない?
と思って1週間は服用を休むよう指導したけれど、
本当かな?と疑問に思ったので調べてみた。
シナールで胃内のpHがどのくらい下がるのか?
と発売元の塩野義製薬に電話してみたら、データなしと。
pubmedで検索したら、
アスコルビン酸やビタミンEを除菌の補助に使うような試験があったので、
システマティックレビューを1件読んでみることにした。
(俺の指導ダメじゃん・・・)
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P 迅速ウレアーゼ試験または、鏡検法でピロリ菌陽性の患者
I PPI+ビスマス+抗菌薬2種+ビタミンC and/or ビタミンE
C PPI+ビスマス+抗菌薬2種
O 除菌率
<検索>
対 象:RCT
対 象:RCT
検 索:PubMed, EMBASE, Cochrane Library
言 語:制限なし
その他:2名が独立して検索
各文献の参考文献まで調べた
clinicaltrials.gov, controlled-trials.comから非出版と進行中の試験を検索
データの不足分は著者へ連絡を取った
<試験選択>
?
<データ抽出>
2名が規定のフォームを使用して、独立して実施
<risk of bias>
Jadad composite scaleを使用
割付の隠ぺいかはコクラン共同計画の分類を使用
2名が独立して行い、 不一致は著者と連絡を取った後に合意を形成した
出版バイアスは、検討していない
<結果>
ビタミンC+E併用(3試験323人)
通常 59.12%
ビタミン併用 69.51%,
RR = 0.93 (0.56 - 1.53, I2 = 85.9%)
ビタミンC併用(3試験488人)
通常 54.25%
ビタミン併用 74.69%,
RR = 0.83 (0.58 - 1.19, I2 = 81.5%)
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ピロリ菌由来の活性酸素から胃壁を守るために
抗酸化作用を期待してビタミンC/Eを併用しようという趣旨みたい。
3剤併用療法ではなく直接性は微妙で、
試験の質は低いものが多く、異質性も高いので結果はどう考えればよいかな。
結果は、有意差なしで除菌率は少しよいような傾向。
除菌率が悪くなることはなさそうだから、
シナール、飲むのやめなくても良かったかもね。。(反省)