血栓の2次予防などでよく処方を見かけるアスピリン製剤。
、
バイアスピリンとバファリンの2種類があるけれど、
ふと気になったので、どう違うのか?を調べてみた。
各インタビューフォームより。
バイアスピリン錠100mg
アスピリン 100mg
腸溶性のフィルムコート錠(Enteric Coated Aspirin)
→胃で溶けないようにすることで、胃への負担軽減
単回投与時 Cmax:455.3(μg/L), Tmax:4.0(hr), AUC:542.2(μg・hr/L), T1/2:0.44(hr)
バファリン配合錠A81
アスピリン 81mg
ダイアルミネート(ジヒドロキシアルミニウム アミノアセテート + 炭酸マグネシウム)33mg
2層性の素錠(Buffered Aspirin)
→ダイアルミネートにより胃のpHが4-6に上昇し、アスピリンの溶解を促進、胃での吸収促進
単回投与時 Cmax:1185(μg/L), Tmax:0.39(hr), AUC:999(μg・hr/L), T1/2:0.40(hr)
バファリン330のインタビューフォームに
胃でのアスピリン結晶析出により胃壁障害と書いてあったけど、そんなの起こるんだね。
腸での吸収とか胃での吸収ってのも知らなかった。
調剤では、バイアスピリンは裸錠でも比較的安定で
バファリンは湿度、温度で外観変化と含量低下が起こる点が異なる。
フィルムコートと添加剤、ダイアルミネートによる影響?
あと一包化するときにバファリンのラミネート包装はあけるのが面倒。
名前の由来は、
Bayer's Aspirin → Bayaspirin
Buffered Aspirin → Bufferin
だって。
アスピリンのバイオアベイラビリティは高く、COX-1阻害作用も非可逆なので、
微妙な用量の違いはあまり気にしなくても良いかな?
(単回投与時のAUCが異なるのはバイアスピリンの吸収が遅いから?なんで?)
で、気になる胃腸障害については、
Int J Clin Pharmacol Ther. 2014 Mar;52(3):181-91.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24472400
というのを見つけたけど、全文が見れないので探したら
同じ先生が書いている↓があった。
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医療薬学 Vol. 39 (2013) No. 8 P 471-481
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/39/8/39_471/_article/-char/ja/
P 日本の保険診療を受けた人
I 腸溶性製剤を服用
C 制酸緩衝製剤を服用
O 消化管障害の頻度(傷病名の付与率)
害 後向きコホート
<期間>
2010年1月~12月
<データベース>
厚生労働省提供の
医科(入院外)と調剤のレセプトデータ
<結果>
全体 87,129,127人
腸溶性製剤を期間内に服用 3,935,743人
制酸緩衝製剤を期間内に服用 655,553人
PPIの併用率(年間平均)
腸溶性製剤 24.0%
制酸緩衝製剤 17.2%
傷病名付与率
・消化管障害全体
腸溶性製剤 25.0%
制酸緩衝製剤 23.2%
・胃潰瘍
腸溶性製剤 23.0%
制酸緩衝製剤 21.5%
・出血性胃潰瘍
腸溶性製剤 0.31%
制酸緩衝製剤 0.26%
・下部消化管出血
腸溶性製剤 0.085%
制酸緩衝製剤 0.062%
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傷病名付与≠実際の有害事象の発生
なので、どっちが消化器障害を起こしやすいのか?を直接判断は出来ないかも。
全文が有料なので細かくは分からないが↓のようなのもあった。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8937281
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21501103
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22749649
多少、腸溶性製剤のほうが障害が多いかもしれない?
(それが日常で差が認識できるようなレベルかは分からないけれど)
そういえば、アスピリンとPPIの併用は上記でも併用率見ているし
なんか良くみるけど、問題ないのかな?
武田が合剤を何か出してたような。。
考えてみれば、よく見かける割に分からない事だらけ。