気質的に異状がなくても、便秘、下痢、ガスなどで困っている
過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)の方は良くいらっしゃり、
よく整腸剤単独でも、何かとセットで処方されているのも良く見かける。
普段交付をしていて、本当に整腸剤は効くのかな?と疑問に思ったので調べてみた。
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Gut. 2010 Mar;59(3):325-32.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19091823
P 16歳以上の過敏性腸症候群(IBS)の患者
I プロバイオティクス製剤
C プラセボ もしくは 無治療
O IBS症状の改善
RCTのシステマティックレビュー
<検索>
MEDLINE (1950 ~ 2008.6), EMBASE(1980 ~ 2008.6)
Cochrane Controlled Trials Register (2007)
言語の制限は特になく、英語以外は適宜翻訳した。
2001 ~ 2007 の会議の議事録を手検索した。各参考文献まで検索した。
<対象>
プロバイオティクス vs プラセボ(または無治療)で7日以上介入をしたパラレルRCT
16歳以上の大人を対象とし、併用療法についての制限はなし
<Study selection >
2人が独立して評価。不一致は、第三者のサポートを受けて合意を形成した。
185件→29件→18件
<risk of bias>
2人のレビューアーが、Jadad scaleを用いて評価。大きな問題はなさそう。
<データの抽出>
2人が独立して行い、第三者がチェックした。ITTで抽出した。
<出版バイアス>
ファンネルプロットとEggerテストで検討
出版バイアスによる多少の偏りと小規模試験の影響があるかも
<outcome>
・治療により2値評価で改善しなかった人の割合(10試験)
プロバイオティクス製剤群 281/553 (50.8%)
プラセボ または無治療群 252/365 (69.0%)
RR = 0.71 (0.57 to 0.88, p=0.001, I2=68%) NNT = 4 (3 to 12.5)
・各群の治療終了時の症状スコアの差
全体(14試験1351人) SMD = - 0.34 (-0.60 to - 0.07, p<0.001, I2 =79%)
外れている1試験を除いた感度分析 SMD = - 0.18 ( -0.29 to - 0.06, p=0.52, I2=0%)
Lactobacillus(4試験200人) SMD = 0.03 (- 0.25 to 0.31, p=0.41, I2=0%)
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プロバイオティクス製剤は過敏性腸症候群の症状改善に良い影響を与える傾向があるみたい。
異質性が高いのは、小さい試験が多いからしょうがない?母数が少ないから不正確かも?
1種類よりも複数菌種を取ったほうが良いのかはよく分からない。
副作用について差は認められなかった様子。
以前しらべた 整腸剤の違いについて を見ると
普段良く見るビオフェルミン、ラックビー、ミヤBMとかは、Lactobacillus属ではないし、
NNTが3~12で有用性が高そうな割には薬価も安いので、
とりあえず整腸剤をだして様子を見るというのは理に適っているのかな。
ヤクルトは、Lactobacillus casei YIT 9029 だから、
過敏性腸症候群にはあまり向かない?
そういえば整腸剤って1日1回服用じゃだめなのかな?
3回とか2回に分けた方が効果が期待できるの?
2014年9月20日土曜日
2014年9月2日火曜日
エゼチミブってどの程度効果が期待できるの?
エゼチミブ(ゼチーア)ってスタチンと併用されたり、単独で処方されたりとまま見かけるが、
スタチンと比較してどのような立ち位置なのかが、よく分からなかったので調べてみた。
エゼチミブ単独とプラセボを比較した試験はあまり見つけられなかった。
(あってもLDLの下がり具合を見るものがほとんど?)
エゼチミブ10mg単独 vs プラセボ のシステマティックレビュー
J Intern Med. 2009 May;265(5):568-80. によるとRCT8件2722人で
LDL -18.58% (95% CI: -19.67 to -17.48)
T-Chol -13.46% (95% CI: -14.22 to -12.70)
だそうだ。
10%以上コレステロール値が下がるのは悪くないのかな?
単剤でよく処方されれている気がするけれど、それを強く肯定するほどの理由は少ない?
あとパッと調べて多いのが、スタチン+エゼチミブ vs スタチンの試験で、
シンバスタチン + エゼチミブの試験が多くみられる気がする。
ENHANS、SEAS、ARBITER6-HALTS、SHARP、
といった大規模試験が行われているみたいだけれど、
エゼチミブにとっては微妙な結果が続いているみたい。
中でも当時のインパクトが大きかった様子のENHANSという試験を読んでみた。
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Simvastatin with or without ezetimibe in familial hypercholesterolemia.
N Engl J Med. 2008 Apr 3;358(14):1431-43.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18376000
P 30歳~75歳の家族性高脂血症患者
I シンバスタチン40mg + エゼチミブ10mg
C シンバスタチン40mg + プラセボ
O 頚動脈の内膜中膜複合体(IMT)の変化量
シンバスタチン+プラセボ357人、シンバスタチン+エゼチミブ363人を24ヶ月治療したRCT
<割付>
プラセボによる6週間のrunin期間の後
コンピュータ生成のコードを用いて、臨床センターで層別化してランダム化割付
<Baseline>
だいたい一緒。頚動脈IMTもだいたい一緒。
エゼチミブ併用群の方がBMIと高血圧比率が高く、心筋梗塞既往は少ない。
<マスキング>
被験者〇、医療者〇?、判定者〇、解析者〇
<解析>
ITTではない
0.05mmの差を検出するのに、α=0.05 power=90%
脱落:シンバスタチン+プラセボ11.5%、シンバスタチン+エゼチミブ17.6%
<outcome>
頚動脈(総頚動脈、内頚動脈、頚動脈洞)のベースラインとの平均差(24ヶ月)
シンバスタチン+プラセボ 0.0058 ± 0.0037 mm
シンバスタチン+エゼチミブ 0.0111 ± 0.0038 mm (P=0.29)
LDLコレステロール(24ヶ月の試験終了時)
シンバスタチン+プラセボ 192.7 ± 60.3 mg/dL
シンバスタチン+エゼチミブ 141.3 ± 52.6 mg/dL
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アウトカムがいわゆる代用アウトカムで直接的に心血管障害の頻度を見たわけではないので、
エゼチミブの追加により本当に予防効果がないのかは分からない。
LDLの下げ幅は、シンバスタチン単独が約40%、エゼチミブ併用が約60%。
LDLが下がっただけでは動脈硬化予防にはならないの?
あと、日本よりシンバスタチンの用量が多い(日本での最大量は20mg)ので、
高用量の試験結果を低用量で使用している日本も同じように考えてよいのかも分からない。
IMPROVE-IT
http://clinicaltrials.gov/ct/show/NCT00202878
という試験が、シンバスタチン40mg + エゼチミブ10mg vs シンバスタチン40mg、
心血管イベントをアウトカムとして行われていて、2014年に終わるそうなので、
その結果が出てくると面白いのかもしれない。
第一選択のスタチンでコレステロールが下がらないような方の選択肢として使うのが主目的?
単剤の試験があまりないのは何で?
動脈硬化等の血管障害予防については有効性があるかどうかは分からないけど、
患者さんに単剤または併用でコレステロールが下がりますと言ってよいのは確かみたい。
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