エゼチミブ(ゼチーア)ってスタチンと併用されたり、単独で処方されたりとまま見かけるが、
スタチンと比較してどのような立ち位置なのかが、よく分からなかったので調べてみた。
エゼチミブ単独とプラセボを比較した試験はあまり見つけられなかった。
(あってもLDLの下がり具合を見るものがほとんど?)
エゼチミブ10mg単独 vs プラセボ のシステマティックレビュー
J Intern Med. 2009 May;265(5):568-80. によるとRCT8件2722人で
LDL -18.58% (95% CI: -19.67 to -17.48)
T-Chol -13.46% (95% CI: -14.22 to -12.70)
だそうだ。
10%以上コレステロール値が下がるのは悪くないのかな?
単剤でよく処方されれている気がするけれど、それを強く肯定するほどの理由は少ない?
あとパッと調べて多いのが、スタチン+エゼチミブ vs スタチンの試験で、
シンバスタチン + エゼチミブの試験が多くみられる気がする。
ENHANS、SEAS、ARBITER6-HALTS、SHARP、
といった大規模試験が行われているみたいだけれど、
エゼチミブにとっては微妙な結果が続いているみたい。
中でも当時のインパクトが大きかった様子のENHANSという試験を読んでみた。
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Simvastatin with or without ezetimibe in familial hypercholesterolemia.
N Engl J Med. 2008 Apr 3;358(14):1431-43.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18376000
P 30歳~75歳の家族性高脂血症患者
I シンバスタチン40mg + エゼチミブ10mg
C シンバスタチン40mg + プラセボ
O 頚動脈の内膜中膜複合体(IMT)の変化量
シンバスタチン+プラセボ357人、シンバスタチン+エゼチミブ363人を24ヶ月治療したRCT
<割付>
プラセボによる6週間のrunin期間の後
コンピュータ生成のコードを用いて、臨床センターで層別化してランダム化割付
<Baseline>
だいたい一緒。頚動脈IMTもだいたい一緒。
エゼチミブ併用群の方がBMIと高血圧比率が高く、心筋梗塞既往は少ない。
<マスキング>
被験者〇、医療者〇?、判定者〇、解析者〇
<解析>
ITTではない
0.05mmの差を検出するのに、α=0.05 power=90%
脱落:シンバスタチン+プラセボ11.5%、シンバスタチン+エゼチミブ17.6%
<outcome>
頚動脈(総頚動脈、内頚動脈、頚動脈洞)のベースラインとの平均差(24ヶ月)
シンバスタチン+プラセボ 0.0058 ± 0.0037 mm
シンバスタチン+エゼチミブ 0.0111 ± 0.0038 mm (P=0.29)
LDLコレステロール(24ヶ月の試験終了時)
シンバスタチン+プラセボ 192.7 ± 60.3 mg/dL
シンバスタチン+エゼチミブ 141.3 ± 52.6 mg/dL
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アウトカムがいわゆる代用アウトカムで直接的に心血管障害の頻度を見たわけではないので、
エゼチミブの追加により本当に予防効果がないのかは分からない。
LDLの下げ幅は、シンバスタチン単独が約40%、エゼチミブ併用が約60%。
LDLが下がっただけでは動脈硬化予防にはならないの?
あと、日本よりシンバスタチンの用量が多い(日本での最大量は20mg)ので、
高用量の試験結果を低用量で使用している日本も同じように考えてよいのかも分からない。
IMPROVE-IT
http://clinicaltrials.gov/ct/show/NCT00202878
という試験が、シンバスタチン40mg + エゼチミブ10mg vs シンバスタチン40mg、
心血管イベントをアウトカムとして行われていて、2014年に終わるそうなので、
その結果が出てくると面白いのかもしれない。
第一選択のスタチンでコレステロールが下がらないような方の選択肢として使うのが主目的?
単剤の試験があまりないのは何で?
動脈硬化等の血管障害予防については有効性があるかどうかは分からないけど、
患者さんに単剤または併用でコレステロールが下がりますと言ってよいのは確かみたい。
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