2014年10月27日月曜日
ビスホスホネートについてお勉強 その2
ビスホスホネートについて引き続きお勉強。
アレンドロン、リセドロン、ミノドロン等、
毎日だったり、週1回、月1回だったりいろいろあって良く分からなかったので、
どの程度値段が違うのかをまとめてみた。
こないだ発売したボナロンゼリーの薬価にびっくり。
製剤工夫で倍の値段がつくんだね。
特許切れ対策にしては、メーカーさん万々歳?
うちの地元の大きな病院も採用をゼリーに切り替えたしなぁ。
しかし、消化器系の副作用が減るとのデータもないし、
飲んだら一緒に水も180mL飲めって書いてあるし、
ゼリーを噛み砕くなと書いてあるし、倍の値段のメリットがあるのか疑問。
消化器の副作用は、毎日、週1、月1だと変わってくるのかな?
と気になったけど、あまり文献が見つけられなかった。
インタビューフォームを見ると副作用は大体変わらないと書いてある。
パッと見つけられたのは↓
********************
Ann Pharmacother. 2009 Apr;43(4):577-85.
(全文は見れないので詳細不明)
P 骨粗しょう症の女性
I イバンドロネートを月1回服用
C アレンドロネート、またはリセドロネートを週に1回服用
O 重篤な胃腸障害
後向きコホート
月1回 45 (0.52%) 対 週1回 70 (0.81%)
OR = 0.64(0.44 to 0.93)
********************
薬剤に暴露する頻度が減るから、副作用は週1、月1のほうが多少減るのかな?
毎日飲むのも大変だし、週1回、月1回の製剤になってきている流れは、
患者さんにとっては悪くないのかも知れない。
2014年10月19日日曜日
ビスホスホネートについてお勉強 その1
今月の会社の勉強会は、
メーカーさんが来てビスホスホネート(ゼリーが発売したやつ)についてやるそうなので、
事前にお勉強。
Mindsに2011年発行のガイドラインあり。
http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0046/G0000419/0001
ガイドラインやネットの情報を見ていると
FIT、FIT2、FLEX という一連の試験が有名らしいので読んでみる。
FIT
********************************
Lancet. 1996 Dec 7;348(9041):1535-41.
P 大腿頸部のBMDが0.68g/cm2以下の55~81歳の閉経後の女性(脊椎骨折既往あり)
I アレンドロン酸5mgを連日服用(24ヶ月目の受診時から10mgに増量)
C プラセボ
O 脊椎骨折の発生数
2027人を平均2.9年追跡したランダム化比較試験
(両群ともに約82%はCaもしくはCa+VDのサプリメント併用)
<割付>
クリニカルセンターで層別化して10人ずつのブロックでランダム割付
<マスキング>
患者:〇、医療者:〇、評価者:〇、解析者:?
<解析>
ITTで解析
サンプルサイズは、年間の発生率を6.5%の仮定で、
α=0.05,power=99%で40%の脊柱骨折のリスク低下、power=90%で36%の低下を検出
どちらの群も脱落は5%未満
<outcome>
morphometric vertebral fracture
アレンドロン酸 78/1022 (8.0%)
プラセボ 145/1005(15.0%)
相対リスク = 0.53 (0.41–0.68), NNT=14.3人
Any clinical fracture
アレンドロン酸 139/1022 (13.6%)
プラセボ 183/1005(18.2%)
相対リスク = 0.72 (0.58–0.90), NNT=21.7人
********************************
ハイリスク患者に3年の服用で脊柱骨折を半分に減らしましたという結果はすごいね。。
これだけみれば処方が良く出るのも納得。
他の大腿骨とか手首は%が低いからインパクトは小さそうだけど。
FIT2
********************************
JAMA. 1998 Dec 23-30;280(24):2077-82.
P 大腿頸部のBMDが0.68g/cm2以下の55~81歳の閉経後の女性(脊椎骨折既往がない人)
I アレンドロン酸5mgを連日服用(24ヶ月目の受診時から10mgに増量)
C プラセボ
O 臨床骨折?
4432人を平均4.2年追跡したランダム化比較試験
(両群ともに82%はCaもしくはCa+VDのサプリメント併用)
クリニカルセンターで層別化して10人ずつのブロックでランダム割付
コンピューター生成のコードで割り当て
<マスキング>
患者:〇、医療者:〇、評価者:〇、解析者:?
<解析>
ITTで解析
α=0.05,power=90%,4000人発生率4%で25%のリスク低下を検出
どちらの群も脱落は5%未満
<outcome>
Clinical fractures
アレンドロン酸 272/2214 (12.3%)
プラセボ 312/2218 (14.1%)
相対ハザード比 = 0.86 (0.73-1.01)
vertebral fracture
アレンドロン酸 43/2214 (2.1%)
プラセボ 78/2218 (3.8%)
相対ハザード比 = 0.56 (0.39-0.80), NNT=58.8人
********************************
骨折既往歴がない人を対象に全骨折を見たら、有意差なし。
FITと同じ脊柱骨折を見ると有意差はあるけれど、だいぶNNTが見劣りする感じ。
BMDは上がっているので、「骨密度の上昇=骨折の減少」という単純な関係ではないみたい。
FITは骨折既往歴のある人、FIT2は骨折既往歴のない人で対象が異なる。
腰の曲がったばあちゃんには良いみたいということでよいのかな?
日ごろの処方では、併用よりもビスホスホネート単独の人が多い気がするんだけど、
カルシウムやビタミンDの併用をするのとしないのでは違うのかな?
FLEX
********************************
JAMA. 2006 Dec 27;296(24):2927-38.
P FITとFIT2のアレンドロン酸群で3年終了時に継続して服用していた人
I アレンドロン酸5mg、アレンドロン酸10mgを連日服用
C プラセボ
O 股関節のBMD
アレンドロンを5年服用した人1099名をさらに平均5年追跡したランダム化比較試験
(CaとVDのサプリメント併用)
<割付>
センターで層別化して置換ブロック法でランダム割付
<マスキング>
患者:〇、医療者:〇、評価者:〇、解析者:?
<解析>
ITTで解析
どの群も脱落は10%程度
<outcome>
total hip BMD
アレンドロン酸 −1.02% (SE=0.18)
プラセボ -3.38% (SE=0.22)
MD = 2.36% (1.81%-2.90%)
Any clinical fractures
アレンドロン酸 132/662 (19.9%)
プラセボ 93/437 (21.3%)
RR = 0.93 (0.71-1.21)
Clinical vertebral fracture
アレンドロン酸 23/662 (2.4%)
プラセボ 16/437 (5.3%)
RR = 0.45 (0.24-0.85) , NNT = 34.5人
********************************
ビスホスホネートを中止(FLEXプラセボ群)は、BMDは緩やかに下がるのに、
脊柱骨折以外の骨折頻度は変わらないみたい。
勉強不足で初耳のFDAの諮問?が2011年にあったみたい。
アポネットR研究会さんの記事が詳しい↓
http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/110908.html
長期服用で大腿骨の骨折が増えるような話もあるみたいだけど、
おなか一杯なので、また今度。
何年も長期で飲んでいるおじいちゃん、おばあちゃんたくさんいる中で、
本当は飲まなくても良い人がいるかもしれないんだね。
カルシウムとかVDのサプリメントは併用を薦めてみようかな。
2014年10月5日日曜日
エホニジピンは腎機能保護によい?
エホニジピン(ランデル)が腎保護に良いとチラ聞きしたので、調べてみた。
高血圧のガイドラインなんかでも腎保護作用ありと書いてあった。
上のは、獨協大学と慶応大学の研究で、小規模な試験だけれど
尿蛋白減少やアルドステロン値の減少が見込めるかも知れない。
不勉強であまり理解できていないけれど、
腎不全の患者さんはアルドステロン値が高値になるよ
→アルドステロンの高値は血圧も上がるし、腎機能や心血管に良くない影響を与えるよ
→ARBやACEIの他にCCBの一部でもアルドステロン下げるのがあるよ
→L型のよりはL/T型とかL/T/N型のCCB使ったらよいんじゃない?
という感じなんだろうか。
薬が切り替わった場合に、患者さんへカルシウム阻害薬のタイプから
どういう風に変わったと交付時に話すのは、アドヒアランスの向上的に悪くないかも。
他のカルシウム阻害薬でL/TとかL/T/N、L/Nの物では、
腎機能をアウトカムにした規模の大きな試験はあるのかな?
高血圧のガイドラインなんかでも腎保護作用ありと書いてあった。
エホニジピンは、日産化学工業開発の国産のCa阻害薬。
効能:高血圧症、腎実質性高血圧症、狭心症
血中半減期:2時間前後
代謝排泄:主にCYP3A4で代謝、胆汁を介し主に糞便中に排泄(90%以上?)、代謝物の活性あり
Keio J Med. 2010;59(3):84-95. によると
エホニジピンは、
CaチャネルのL型とT型を阻害する L/Tタイプとされる。
アゼルニジピン(カルブロック)ニルバジピン(ニバジール)
が同じような阻害傾向で、
L型単独(アムロジピンやニフェジピンなど)
に比べ糸球体の血管を広げ、
血流量を増やしやすいそうだ。
ベニジピン(コニール)は、さらにN型も阻害し、L/T/N型と。
試験では JATOS というのが、規模が大きいようだけれど、
エホニジピンをベースに血圧の厳格管理群と緩和管理群で比較するという試験みたいなので、
とりあえずスルー。
サブ解析で腎機能を見たのがあるようだけれど全文見れないからよく分からない。
小規模なのはいくつか見つけられたので、見てみた。
Hypertens Res. 2007 Jul;30(7):621-6.
P 血清クレアチニン濃度が30mg/dL以下の慢性糸球体腎炎の患者
I エホニジピン20mg~60mgを1日2回
C アムロジピン2.5mg~7.5mgを1日1回
O 尿たんぱく?血清アルドステロン値?
21名のランダム化クロスオーバー比較試験
ランダム化や盲検化の方法については詳細記載なし。
エホニジピン期は、アムロジピン期に比べ
GFRや血圧、脈拍などは差がなかったが、
尿蛋白量 1.7 ± 1.5 vs. 2.0 ± 1.6 g/g creatinine, p=0.04
血清アルドステロン値 52 ± 46 vs. 72 ± 48 pg/mL, p=0.009
Int Heart J. 2010 May;51(3):188-92.
P 維持透析実施の末期腎疾患患者
I エホニジピン20mg~60mgを1日2回
C アムロジピン2.5mg~7.5mgを1日1回
O 血清アルドステロン値?
20名のランダム化クロスオーバー比較試験
ランダム化や盲検化の方法については詳細な記載なし。
エホニジピン期はアムロジピン期にくらべ
平均血圧、脈拍、 血漿レニン活性および血漿アンジオテンシンIIに差はなかったが、
血清アルドステロン値 123 ± 118 versus 146 ± 150 pg/mL, P = 0.027
Am J Hypertens. 2003 Feb;16(2):116-22.
効能:高血圧症、腎実質性高血圧症、狭心症
血中半減期:2時間前後
代謝排泄:主にCYP3A4で代謝、胆汁を介し主に糞便中に排泄(90%以上?)、代謝物の活性あり
Keio J Med. 2010;59(3):84-95. によると
Keio J Med. 2010;59(3):84-95. より |
CaチャネルのL型とT型を阻害する L/Tタイプとされる。
アゼルニジピン(カルブロック)ニルバジピン(ニバジール)
が同じような阻害傾向で、
L型単独(アムロジピンやニフェジピンなど)
に比べ糸球体の血管を広げ、
血流量を増やしやすいそうだ。
ベニジピン(コニール)は、さらにN型も阻害し、L/T/N型と。
試験では JATOS というのが、規模が大きいようだけれど、
エホニジピンをベースに血圧の厳格管理群と緩和管理群で比較するという試験みたいなので、
とりあえずスルー。
サブ解析で腎機能を見たのがあるようだけれど全文見れないからよく分からない。
小規模なのはいくつか見つけられたので、見てみた。
Hypertens Res. 2007 Jul;30(7):621-6.
P 血清クレアチニン濃度が30mg/dL以下の慢性糸球体腎炎の患者
I エホニジピン20mg~60mgを1日2回
C アムロジピン2.5mg~7.5mgを1日1回
O 尿たんぱく?血清アルドステロン値?
21名のランダム化クロスオーバー比較試験
ランダム化や盲検化の方法については詳細記載なし。
エホニジピン期は、アムロジピン期に比べ
GFRや血圧、脈拍などは差がなかったが、
尿蛋白量 1.7 ± 1.5 vs. 2.0 ± 1.6 g/g creatinine, p=0.04
血清アルドステロン値 52 ± 46 vs. 72 ± 48 pg/mL, p=0.009
Int Heart J. 2010 May;51(3):188-92.
P 維持透析実施の末期腎疾患患者
I エホニジピン20mg~60mgを1日2回
C アムロジピン2.5mg~7.5mgを1日1回
O 血清アルドステロン値?
20名のランダム化クロスオーバー比較試験
ランダム化や盲検化の方法については詳細な記載なし。
エホニジピン期はアムロジピン期にくらべ
平均血圧、脈拍、 血漿レニン活性および血漿アンジオテンシンIIに差はなかったが、
血清アルドステロン値 123 ± 118 versus 146 ± 150 pg/mL, P = 0.027
Am J Hypertens. 2003 Feb;16(2):116-22.
エホニジピン vs ACEI 68(43?)名のランダム化比較試験
両群ともに蛋白尿を改善傾向?(全文見れないから詳細不明)
両群ともに蛋白尿を改善傾向?(全文見れないから詳細不明)
上のは、獨協大学と慶応大学の研究で、小規模な試験だけれど
尿蛋白減少やアルドステロン値の減少が見込めるかも知れない。
不勉強であまり理解できていないけれど、
腎不全の患者さんはアルドステロン値が高値になるよ
→アルドステロンの高値は血圧も上がるし、腎機能や心血管に良くない影響を与えるよ
→ARBやACEIの他にCCBの一部でもアルドステロン下げるのがあるよ
→L型のよりはL/T型とかL/T/N型のCCB使ったらよいんじゃない?
という感じなんだろうか。
薬が切り替わった場合に、患者さんへカルシウム阻害薬のタイプから
どういう風に変わったと交付時に話すのは、アドヒアランスの向上的に悪くないかも。
他のカルシウム阻害薬でL/TとかL/T/N、L/Nの物では、
腎機能をアウトカムにした規模の大きな試験はあるのかな?
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