今月の会社の勉強会は、
メーカーさんが来てビスホスホネート(ゼリーが発売したやつ)についてやるそうなので、
事前にお勉強。
Mindsに2011年発行のガイドラインあり。
http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0046/G0000419/0001
ガイドラインやネットの情報を見ていると
FIT、FIT2、FLEX という一連の試験が有名らしいので読んでみる。
FIT
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Lancet. 1996 Dec 7;348(9041):1535-41.
P 大腿頸部のBMDが0.68g/cm2以下の55~81歳の閉経後の女性(脊椎骨折既往あり)
I アレンドロン酸5mgを連日服用(24ヶ月目の受診時から10mgに増量)
C プラセボ
O 脊椎骨折の発生数
2027人を平均2.9年追跡したランダム化比較試験
(両群ともに約82%はCaもしくはCa+VDのサプリメント併用)
<割付>
クリニカルセンターで層別化して10人ずつのブロックでランダム割付
<マスキング>
患者:〇、医療者:〇、評価者:〇、解析者:?
<解析>
ITTで解析
サンプルサイズは、年間の発生率を6.5%の仮定で、
α=0.05,power=99%で40%の脊柱骨折のリスク低下、power=90%で36%の低下を検出
どちらの群も脱落は5%未満
<outcome>
morphometric vertebral fracture
アレンドロン酸 78/1022 (8.0%)
プラセボ 145/1005(15.0%)
相対リスク = 0.53 (0.41–0.68), NNT=14.3人
Any clinical fracture
アレンドロン酸 139/1022 (13.6%)
プラセボ 183/1005(18.2%)
相対リスク = 0.72 (0.58–0.90), NNT=21.7人
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ハイリスク患者に3年の服用で脊柱骨折を半分に減らしましたという結果はすごいね。。
これだけみれば処方が良く出るのも納得。
他の大腿骨とか手首は%が低いからインパクトは小さそうだけど。
FIT2
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JAMA. 1998 Dec 23-30;280(24):2077-82.
P 大腿頸部のBMDが0.68g/cm2以下の55~81歳の閉経後の女性(脊椎骨折既往がない人)
I アレンドロン酸5mgを連日服用(24ヶ月目の受診時から10mgに増量)
C プラセボ
O 臨床骨折?
4432人を平均4.2年追跡したランダム化比較試験
(両群ともに82%はCaもしくはCa+VDのサプリメント併用)
クリニカルセンターで層別化して10人ずつのブロックでランダム割付
コンピューター生成のコードで割り当て
<マスキング>
患者:〇、医療者:〇、評価者:〇、解析者:?
<解析>
ITTで解析
α=0.05,power=90%,4000人発生率4%で25%のリスク低下を検出
どちらの群も脱落は5%未満
<outcome>
Clinical fractures
アレンドロン酸 272/2214 (12.3%)
プラセボ 312/2218 (14.1%)
相対ハザード比 = 0.86 (0.73-1.01)
vertebral fracture
アレンドロン酸 43/2214 (2.1%)
プラセボ 78/2218 (3.8%)
相対ハザード比 = 0.56 (0.39-0.80), NNT=58.8人
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骨折既往歴がない人を対象に全骨折を見たら、有意差なし。
FITと同じ脊柱骨折を見ると有意差はあるけれど、だいぶNNTが見劣りする感じ。
BMDは上がっているので、「骨密度の上昇=骨折の減少」という単純な関係ではないみたい。
FITは骨折既往歴のある人、FIT2は骨折既往歴のない人で対象が異なる。
腰の曲がったばあちゃんには良いみたいということでよいのかな?
日ごろの処方では、併用よりもビスホスホネート単独の人が多い気がするんだけど、
カルシウムやビタミンDの併用をするのとしないのでは違うのかな?
FLEX
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JAMA. 2006 Dec 27;296(24):2927-38.
P FITとFIT2のアレンドロン酸群で3年終了時に継続して服用していた人
I アレンドロン酸5mg、アレンドロン酸10mgを連日服用
C プラセボ
O 股関節のBMD
アレンドロンを5年服用した人1099名をさらに平均5年追跡したランダム化比較試験
(CaとVDのサプリメント併用)
<割付>
センターで層別化して置換ブロック法でランダム割付
<マスキング>
患者:〇、医療者:〇、評価者:〇、解析者:?
<解析>
ITTで解析
どの群も脱落は10%程度
<outcome>
total hip BMD
アレンドロン酸 −1.02% (SE=0.18)
プラセボ -3.38% (SE=0.22)
MD = 2.36% (1.81%-2.90%)
Any clinical fractures
アレンドロン酸 132/662 (19.9%)
プラセボ 93/437 (21.3%)
RR = 0.93 (0.71-1.21)
Clinical vertebral fracture
アレンドロン酸 23/662 (2.4%)
プラセボ 16/437 (5.3%)
RR = 0.45 (0.24-0.85) , NNT = 34.5人
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ビスホスホネートを中止(FLEXプラセボ群)は、BMDは緩やかに下がるのに、
脊柱骨折以外の骨折頻度は変わらないみたい。
勉強不足で初耳のFDAの諮問?が2011年にあったみたい。
アポネットR研究会さんの記事が詳しい↓
http://www.watarase.ne.jp/aponet/blog/110908.html
長期服用で大腿骨の骨折が増えるような話もあるみたいだけど、
おなか一杯なので、また今度。
何年も長期で飲んでいるおじいちゃん、おばあちゃんたくさんいる中で、
本当は飲まなくても良い人がいるかもしれないんだね。
カルシウムとかVDのサプリメントは併用を薦めてみようかな。
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