2015年3月15日日曜日

長時間作用型のベンゾジアゼピンの方が転倒が多いの?

 
 
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の半減期の違いを先日調べたが、
半減期の長短で転倒リスクが異なるか?が気になったので調べてみた。
 
高齢者には、ふらつき、転倒の原因になるので、
長時間作用型は避けた方が良いというのは本当?
 
 
****************************************
Arch Intern Med. 2004 Jul 26;164(14):1567-72.
 
P ニュージャージー州のメディケイドに登録していた65歳以上の人
I  長半減期(T1/2≧20hr)と短半減期(高力価、低力価)のベンゾジアゼピン
C BZDを使用しない人
O 股関節骨折
 
<コホート>
アメリカのニュージャージー州のメディケイドに
6ヶ月以上続けて登録していた65歳以上の125,203人
<期間>
1987.1~1990.6
<交絡因子>
年齢、性別、人種、疾患、併用薬、介護施設入所の有無、骨折既往の有無
<outcome>
・股関節骨折
BZD非使用          11.29(件/1000人年)
長半減期BZD        12.62(件/1000人年) 調整RR 1.13 (0.82 - 1.55)
短半減期BZD(高力価)  17.82(件/1000人年) 調整RR 1.27 (1.01 - 1.59)
短半減期BZD(低力価)  22.63(件/1000人年) 調整RR 1.22 (0.89 - 1.67)
****************************************
 
長半減期の方が、日中も体内に残るからふらつきがでやすい
転倒による骨折も多い、と思っていたけれど、
単純な半減期の違いによってそこまでの違いはないみたい。
 
 
****************************************
J Am Geriatr Soc. 2005 Feb;53(2):233-41.

P ケベック州の65歳以上で1年間ベンゾジアゼピンの使用歴のない
I  ベンゾジアゼピンを新規に使用
C ベンゾジアゼピンを非使用
O 非脊柱骨折、軟部組織損傷、転倒関連の入院、その他入院
 
<コホート>
カナダのケベック州の公的保険のデータベースから
1989年1月時点でベンゾジアゼピンを使用していない人からランダムに抽出
1989年の間にベンゾジアゼピンを使用、死亡、施設へ入所した人を除外
253,244人をフォローアップ
<期間>
1990.1.1~1994.12.31
<交絡因子>
年齢、性別、怪我の既往
転倒リスクのある既往症、転倒リスクのある薬剤、骨折リスクのある薬剤
<outcome>
障害発生件数(骨折、軟部組織損傷、入院の合計)※結果の一部
BZD非使用     43,043件 / 930,939人年  46.2件/1000人年
アルプラゾラム      72件 / 1,377人年    52.3件/1000人年  HR 1.13 (0.90–1.43)
ロラゼパム        830件 / 13,699人年   60.6件/1000人年  HR 1.31 (1.22–1.40)
フルラゼパム      113件 / 1,303人年     86.7件/1000人年  HR  1.88 (1.56–2.26)
ジアゼパム        57件 / 1,222人年     46.6件/1000人年  HR 1.01 (0.78–1.31)
****************************************
 
こちらの試験は、
ランダムに抽出後の除外率が高いこと、アウトカムに入院も含まれているのが気になるけれど、
半減期よりは個々の薬剤の違いによって転倒リスクが異なるという結果みたい。
上記試験では、4種類のモデルで使用暦、使用量等も考慮して分析しているけれど、
あまり理解できないので省略。。(英語勉強しよ・・・)


どのベンゾジアゼピンが転倒リスクが高いとかは今後の試験待ち?
単純に半減期の長、短で転倒リスクが予測できないのなら、
普段の仕事ではどうしたらよいのかな?


ベンゾジアゼピンが高齢者に対して処方されていたら
一律にふらつき等の注意喚起をしても良いのかもしれないと思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿