2014年7月11日金曜日
下痢に整腸剤
下痢の患者さんに、整腸剤。
良く見かける処方だけど、
効果があるのかな?と疑問に思ったので調べてみた。
大人の下痢に対するプロバイオティクス(菌製剤)のコクランレビュー。
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Probiotics for treating acute infectious diarrhoea
Cochrane Database Syst Rev. 2010 Nov 10;(11):CD003048.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21069673
P:感染性の急性下痢の人に対し
I:プロバイオティクス(菌製剤)は、
C:プラセボもしくは、無治療とくらべて
O:下痢を改善させるのか?
<検索>
CIDG SR、CENTRAL、MEDLINE、EMBASE
未発表データ等のためにプロバイオティクスの製薬会社へもコンタクトをとった
<対象>
感染性の急性下痢に対するRCT
抗菌薬による下痢、慢性の下痢は除外
<Study selection >
SAとLDの2名が独立して行い、相違点はディスカッションにより合意を形成した。
不明な点は著者に対して連絡をとった。試験の重複もチェックした。
<risk of bias>
EMとCGの2名が、文献の情報を知らされずに独立して評価した。
不一致は、LDが解決した。
<データの抽出>
SA, BO, SP, SAの4名が独立して行った。
ITT
<出版バイアス>
ファンネルプロットで検討。大きな偏りなし。
<outcome>
下痢の継続期間 35試験4555人
MD -24.76 時間(95%CI 15.9 to 33.6, I2=97%, p<0.00001)
4日以上続く下痢 29試験2853人
RR 0.41 (95%CI 0.32 to 0.53, I2=71%, p<0.00001)
介入2日後の排便回数 20試験2751人
MD -0.80 (95%CI 0.45 to 1.14, I2=75%, p<0.00001)
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他にもいろいろサブグループ解析していたが省略。
整腸剤は下痢を改善する方向に働くようではあるみたい。
一つ一つの試験の大きさが小さかったり、異質性が高いのはしょうがないのかな。
感度分析でも異質性はあまり変わらない様子。
小児対象のも何件か見つけられたので見てみた。
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Aliment Pharmacol Ther. 2011 Nov;34(9):1079-87.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21899584
P:小児の入院患者に対し
I:LGG( Lactobacillus rhamnosus GG)は、
C:プラセボや無治療と比較して
O:医療関連下痢(HAD:healthcare-associated diarrhoea)を改善させるのか?
<検索>
MEDLINE, EMBASE, Health Source, Cochrane Library
<対象>
医療関連下痢へのLGGとプラセボ(もしくは無治療)を比較したRCT
<Study selection >
2名が独立して行った。
1681→8→3
<risk of bias>
複数名が独立して評価した
ジャーナル、著者名等は隠蔽化されなかった。
<データの抽出>
複数名が独立して行った。
<出版バイアス>
ファンネルプロットで検討。
<outcome>
下痢(HAD)の発生 2試験823人
RR 0.37 (95%CI 0.23–0.59, P = 0.26, I2 = 21%)、 NNT 12 (95%CI 8 - 21)
Meta-analysis: Lactobacillus GG for treating acute diarrhoea in children.
Aliment Pharmacol Ther. 2007 Apr 15;25(8):871-81.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17402990
P:小児の急性下痢に対し
I:LGG( Lactobacillus rhamnosus GG)は、
C:プラセボや無治療と比較して
O:下痢を改善させるのか?
<検索>
MEDLINE, EMBASE, CINAHL, Cochrane Library
<対象>
小児の急性下痢へのLGGとプラセボ(もしくは無治療)を比較したRCT
<Study selection >
各著者が独立して行い、不一致は合意を形成した
<risk of bias>
複数名が独立して評価した
ジャーナル、著者名等は隠蔽化されなかった。
<データの抽出>
HSが行った。
<出版バイアス>
ファンネルプロットで検討。
<outcome>
下痢の期間 7試験876人
MD −1.1 日 (95%CI −1.9 to −0.3, P = 0.26, I2 = 97.4%)
↓アップデート
Aliment Pharmacol Ther. 2013 Sep;38(5):467-76.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23841880
(全文は有料なので詳細不明)
<outcome>
下痢の期間 11試験2444人
MD -1.05 日 (95%CI -1.7 to -0.4)
J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2001 Oct;33 Suppl 2:S17-25.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/11698781
P:急性下痢(抗菌薬によるものを除く)の小児に対し
I:プロバイオティクス(菌製剤)を服用させると
C:プラセボと比べて
O:下痢が改善するのか?
<検索>
MEDLINE,Cochrane Library
教科書や製薬会社の資料を手検索した。英語以外の文献も検索。
<対象>
小児の急性下痢に対するプラセボ対照のRCT
抗菌薬による下痢は除外
<Study selection>
2名が独立して行い、不一致は合意を形成した。
<データ抽出>
1名で抽出を行い、別の人がチェックした
<risk of bias>
jadadスケールを用いて2名が独立して評価、不一致は合意を形成した。
各研究は3~5の範囲で、2者の評価の差はkappaスコア0.78
<出版バイアス>
検討していない
<outcome>
3日以上の下痢の持続(8試験731人)
RR 0.43 (95%CI 0.34–0.53, P=0.12)
下痢の期間(8試験773人)
MD −18.2 時間 (95%CI −26.9 to −9.5, P=0.15)
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異質性が高いとか、サンプルサイズが小さいとかは同じだが、
全体的に下痢に良い効果があるような感じ。
もし下痢が収まるのが半日~2日早まるのなら、
安いし大きな副作用もないし、良いのではないか?と思う。
抗菌薬がたくさん出るよりは、怖くないかな。
一口にプロバイオティクスといっても色々な菌がいるようで、それぞれ効果はちがうのかな?
そもそも日常的に調剤している、
ビオフェルミンにしろミヤBMにしろ中の菌がどう違うか?を詳しく説明できるまでは知らないので、
これを機会にすこし勉強してみようかと思った。乳酸菌やら酪酸菌くらいなら分かるけど。
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