PPI(エソメプラゾール) をGERDで継続して飲んでいる患者さんから、
腎機能が悪いんだけど大丈夫?と質問があった。
腎機能がわからなかったので、
病院に確認したら、Scr=1.7mg/dL。
中肉中背の60代男性なので、
おおざっぱに計算するとCcr≒40mL/minで重度のCKD。
一応エソメプラゾールは腎機能で調節不要となっている。
インタビューフォームを見ると、
肝臓で代謝され未変化体の尿中排泄率は1%以下、
便中:尿中=4:1なので、問題はなさそう。
腎機能の悪化に影響はないのかな?
と疑問に思ったので調べてみた。
最近のが2報あったので読んでみる。
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P1 ARIC試験でeGFR≧60 mL/min/1.73m2の人(10482人)
P2 Geisinger Health Systemに登録されていてeGFR≧60 mL/min/1.73m2の人(248751人)
E1 自己申告のPPI、H2阻害薬の使用
E2 Geisinger Health Systemで登録されたPPI、H2阻害薬の使用
C 非使用
O1 退院時にCKDの診断、もしくは死亡
O2 Geisinger Health SystemでeGFR<60 mL/min/1.73m2の患者数
<追跡期間>
ARIC試験 1996/2/1 ~ 2011/12/31(中央値13.9年)
Geisinger Health System 1997/2/13 ~ 2014/10/9(中央値6.2年)
ARIC試験 1996/2/1 ~ 2011/12/31(中央値13.9年)
Geisinger Health System 1997/2/13 ~ 2014/10/9(中央値6.2年)
<脱落>
ARIC試験 11145人→10482人 663人(約6%)
Geisinger Health System データベース解析なのでなし
Geisinger Health System データベース解析なのでなし
<交絡因子の調整>
Cox比例ハザード回帰
<その他>
ARIC試験では、maskingはされていない。
データベースのコードによるOutcomeの評価
<Outcome>
PPI 使用 vs 非使用者
ARIC試験
PPI 56/322 14.2件/1000人年
非使用者 1382/10160 10.7件/1000人年
調整ハザード比 1.50 (1.14-1.96)
Geisinger Health System
PPI 1921/16900 20.1件/1000人年
非使用者 28226/231851 18.3件/1000人年
調整ハザード比 1.17 (1.12-1.23)
H2阻害薬使用 vs 非使用者 (調整ハザード比)
ARIC試験 1.15 (0.98-1.36)
Geisinger Health System 0.93 (0.88-0.99)
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PPIとH2阻害薬と対象群の背景の差が大きい気もするけど、
PPI使用によりCKDのリスクは上昇するらしい。
PPI使用によりCKDのリスクは上昇するらしい。
ARICは、肥満者が多かったようなことが書いてあるので、
調整ハザード比が大きいのはその影響かしら?それとも追跡期間が長いから?
もう一つの方、
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P 退役軍人のデータベースでeGFR≧60ml/min/1.73m2
E 2006/10/1~2008/9/30にPPIが新規に処方
C 2006/10/1~2008/9/30にH2阻害薬が新規に処方
O eGFR<60ml/min/1.73m2、もしくはCKDの診断
<追跡期間>
~2013/9/30 5年
~2013/9/30 5年
<脱落>
データベース解析なのでなし
<交絡因子の調整>
Coxモデル
<その他>
感度分析でマッチチングしても結果はあまり変わらず
<Outcome>
eGFR<60ml/min/1.73m2
PPI 48171/173321 = 27.79%
H2B 4429/20270 = 21.85%
ハザード比 1.22 (1.18 to 1.26)
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こちらもH2阻害薬に比べてPPIの方が、
長期服用で腎機能低下、CKDが起こりやすいという結果。
GERDの症状が落ち着いているようだったら、
一度止めてみるのをお勧めしてみても良かったのかな。。
もしくは、ファモチジン1日1回で提案してみるとかかな。
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