2014年5月16日金曜日

PPIを服用していると市中肺炎が増える?

PPIがホントよく処方されていて飲んでいる人が多く、
8週の制限もあってないような印象。

日ごろ患者さんの応対をして、長期で服用しても特に健康上問題ないのかな?
と気になったので、PPIの副作用について調べてみる。

色々あるようなので何回かに分けて勉強。
今回は肺炎について。

肺炎のリスクが上がるというのと、上がらないというのがあった。
今日は上がるという方。


Confounding in the association of proton pump inhibitor use with risk of community-acquired pneumonia.
J Gen Intern Med. 2013 Feb;28(2):223-30.

P:30歳以上の成人に対し
I:PPIを使用することは
C:使用しない場合と比べて
O:市中肺炎を始めとするリスクは上昇するのか?

後向きコホート試験

【Methods】
6つの雇用者用医療保険のうちのどれかに
1997~2007で連続で加入していた30歳以上の人54490人を対象
四半期ごとに保険の請求データをもとに評価。

11年間のいずれかの四半期で、PPIを使用したことがある人をPPI群とした。
PPI使用群:26,436人(1,163,184 人四半期)
→罹患率は、PPI使用期(320,981四半期)、非PPI使用期(842,203四半期)で別々に計算した。
PPI非使用群:28,054人(1,234,376人四半期)
※群間の調整はロジスティック回帰分析で推定した

市中肺炎(CAP)、変形性関節症、胸痛、尿路感染症(UTI)
深部静脈血栓症(DVT)、皮膚感染、関節リウマチについてそれぞれフラグを立てた。
最初の四半期からCAPの診断を受けた人やPPIの処方があった人を除外はしなかった。


【Results】
未調整の四半期ごとの各疾病の発生率
調整された四半期ごとの各疾病の発生率

深部静脈血栓症(DVT)、皮膚感染、関節リウマチについても、
調整後に比較すると統計学的に有意に多い。
DVT (25 vs. 16 cases per 10,000 persons per year, p<0.001),
skin infection (143 vs. 124 cases per 10,000 persons per year, p<0.001)
rheumatoid arthritis (85 vs. 68 cases per 10,000 persons per year, p<0.001)

***********************
調整後の市中肺炎のリスク比は、
RR = 111/68 = 1.63
でも発生率自体が低いからそんなに大きな差ではないのではないのかしら?
***********************


服用期間順に並べて1/3づつに分けた場合の発生率の比較
短い方の1/3 PPI服用期間平均 = 1.64 (SD 0.77) 四半期
まん中の1/3 PPI服用期間平均 = 8.6 (SD 3.5) 四半期
長い方の1/3 PPI服用期間平均 = 25.9 (SD. 7.10) 四半期
全体の平均 12.1 (95 % CI 12.0–12.3)  四半期

************************
服用期間が長いほど発生率が上がるのは、
PPIより元の疾患とか併用薬とかの影響が大きいんじゃないのかなぁ。。
全体を通してPPIを服用したほうが、疾病リスクが上がるという結果みたい。
************************


Are proton pump inhibitors associated with the development of community-acquired pneumonia? A meta-analysis.
Expert Rev Clin Pharmacol. 2012 May;5(3):337-44.

P:成人に
I:PPIを使用することは
C:使用しない場合に比べて
O:市中肺炎を増加させるのか?

2件の後向きコホート研究と7つの症例対照研究のメタアナリシス
全体で120863例

1988年~2011年11月の期間で英語の論文を検索
2名のレビューアーが検討し、意見の相違は合意を形成した。
小児、ピロリ菌除菌療法、重症治療のものは除外した。

【結果】
全体:OR 1.39, 95% CI 1.09 - 1.76; I2=98%; 9試験
高用量:OR 1.50, 95% CI 1.33 - 1.68; I2=4%; 4試験
低用量:OR:1.17, 95% CI 1.11 - 1.24
短期間(30日):OR 1.65, 95% CI 1.25 - 2.19; I2=91%; 6試験
長期間(180日):OR 1.10, 95% CI: 1.00-1.21

*************************
全文が見れなかったので詳細不明。
高用量、短期間でORが高い。


どちらも肺炎のリスクは高まるという結果だが、
服用期間でのリスクについては矛盾する。
180日=2四半期だから、比較するのは適切じゃないのかな?
はたしてどうなのかしら?

PPIでは肺炎のリスクは増えないというのが2014年に出たみたいなので、次に見てみようと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿