2014年5月1日木曜日

FDに対する六君子湯(2)


ツムラさんに電話で聞いたら、FAXで文献をいただけたので勉強。
日本での六君子湯でのFDに対する試験。


運動不全型の上腹部愁訴(dysmotility-like dyspepsia)に対するTJ-43六君子湯の多施設共同市販後臨床試験
医学のあゆみ 187 : 207-229, 1998
https://drive.google.com/file/d/0B_f7wHNXdqyWWUYyeVprT1REZVk/edit?usp=sharing

P:上腹部愁訴が4週以上持続、もしくは断続的に訴える患者に対し
I:六君子湯で治療することは
C:低用量群(含量:2.5%)と比較して
O:症状が改善するのか?
T:治療、ランダム化比較試験


二重盲検および隠蔽化してランダム割付。

ツムラ43番 六君子湯 2.5g/包(TJ-43群)と乳糖に2.5%の六君子湯と香料、嬌味剤を添加(外装、包装等も製品と同じ)2.5g/包(低用量群)を比較。

1日3回毎食前もしくは毎食間で2週間服用。
消化器の薬は、他の薬の併用は認めなかった。
(整腸剤はのぞく)

296例登録(TJ-43群143例、低用量群149例)
61例除外(TJ-43群29例、低用量群32例)
追跡率79.4%


<主要評価項目>
運動不全型(食欲不振、胃部膨満感、胃部不快感、胃もたれ、吐気)と潰瘍症状型(上腹部痛、胸やけ、げっぷ)の類型別総合改善度を医師が5段階(1.著明改善、2.改善、3.やや改善、4.不変、5.悪化)で評価
〇運動不全型症状類型別総合改善度(DDGI)
→運動不全型症状の改善度
〇最終改善度(FGI)
→運動不全型、潰瘍症状型を総合した全ての上腹部症状の改善度


<解析>
解析対象群で主解析を行い、
副解析としてITTで解析を行った。
判定委員会で、解析対象症例の決定を行った。
有効性は、U検定とFisherの正確確立検定を行った。


<結果>
DDGI
改善以上率 TJ-43群59.3% 低用量群40.2%(p=0.004)
著明改善率(ITT) TJ-43群45.2% 低用量群25.2%
改善以上率(ITT) TJ-43群51.4% 低用量群37.2%(p=0.001)

FGI
改善以上率 TJ-43群60.2% 低用量群41.0%(p=0.004)
著明改善率(ITT) TJ-43群43.7% 低用量群22.8%
改善以上率(ITT) TJ-43群52.7% 低用量群38.3%(p=0.001)

層別解析:漢方選択基準の差異による有意差
虚証条件1を満たす(p=0.001)、満たさない郡(p=0.442)
腹壁の緊張が弱い(p=0.001)、普通(p=0.363)
腹部振水音なし(p=0.004)、あり(p=0.028)
気力・体力が低下している(p=0.003)、普通(p=0.065)

※虚証条件1:腹壁の緊張低下、自・他覚的な腹部振水音、あるいはX線検査による下垂胃傾向のいずれかの傾向が認められる患者

症状別のTJ-43群の改善以上率
運動不全症状型
胃もたれ68.5%、胃部膨満感67.5%、吐気64.4%
潰瘍症状型
上腹部痛64.9%、胸や63.6%、げっぷ64.0%


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中国のでは比較していたので、症状別でどの程度改善度が違うか気になるところ
あまり証に関係なく処方されていても、本来の証に近いほうが改善率がよさそう。
低用量群の改善率が思ったより良いのは、
自然経過がよいから?それともプラセボ効果?
味覚とか嗅覚による影響もあるのかな?
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症状が重いと複数要因が関わることも多いので、
単剤よりは他の薬と併用したほうが改善が良いのかもしれない。

証が合わない人で改善が不十分な場合も患者さんにDrへ効果不十分を伝えるように
指導したほうがよいのかもしれない。

漢方はやっぱりお湯で溶いて飲んだほうがよいのかな。


補気剤としての、
四君子湯
→六君子湯(漢方で言うところの湿痰が強いもの?)
→補中益気湯(気虚が強いとか発熱、下垂のあるもの?)
はよく見かける処方なのでもう少し勉強したい。

あと押さえたいのは、瀉心湯系かなぁ。

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