日常の業務時に気にするリスクの骨折について。
コホート研究のメタアナリシス2件。
Use of proton pump inhibitors and risk of hip fracture in relation to dietary and lifestyle factors: a prospective cohort study.
BMJ. 2012 Jan 30;344:e372.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22294756
P:30歳~55歳の女性に
I:PPIを投与することは
C:しない場合と比較して
O:股関節骨折のリスクは上昇させるのか?
害 前向きコホート試験 + 他の研究とのメタアナリシス
【Methods】
121700名の30歳~55歳の女性(看護師)を対象のコホート
1972年から2年に1回運動機能評価票を送り、4年に1度食物頻度アンケートを行った。
フォローアップは90%以上
1994年の調査からH2阻害薬の使用の有無を確認し
2000年からPPIの使用の有無も確認した
他、閉経の有無、体重、運動やレクリエーションの時間、飲酒、喫煙の有無
薬物治療(ホルモン補充療法、ビスホスホネート、チアジド系利尿薬、Ca製剤)、
骨粗鬆症の有無について確認した。
ベースラインには2000年のアンケートの時点でPPIを服用していた閉経後の女性を含み、
がんと股関節骨折の既往がある人は除外し、79899名を解析対象とした。
2年前の調査でPPIの使用があった人は、PPIユーザーと定義した。
2000年~2008年の股関節骨折を追跡。Cox比例ハザードモデルを用いた。
この試験結果に加えて
FDAによって引用された7試験とMEDLINEを検索して追加した3試験
から不適合1試験(primary outcomeが脊柱骨折と股関節骨折だったため)を除外し、
メタアナリシスを行った。
【Results】
79899名 股関節骨折893件/565786人年
PPI使用率 2000年:6.7% → 2008年:18.9% ↑
PPI使用群(5341名)は非使用群より
より高いBMI、より低い運動量、
骨粗しょう症の既往も高い傾向があり、
ホルモン補充療法、チアジド系利尿薬、糖質コルチコイド、
ビスホスホネートを使用している割合も高い傾向があった。
PPI群 2.02件/1000人年
非PPI群 1.51件/1000人年
年齢調整ハザード比 1.35 (95%CI 1.13 - 1.62)
PPI服用群の中でも
非喫煙群 調整ハザード比 1.06 (95%CI 0.77 - 1.46)
喫煙群 調整ハザード比 1.51 (95%CI 1.20 - 1.91)
2年→4年→6-8年と期間が延びるごとにハザード比は上昇傾向。
複数試験をメタアナリシスした結果
heterogeneity (Qstatistic=22.0; I2=50.0, P=0.02) で中程度の異質性
OR = 1.28 (1.19 - 1.37)
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PPI服用+喫煙で股関節骨折リスク↑
アンケート調査だからマスキングはされていない。
中止後2年以上経過すると
骨折リスクは非服用群とさほど変わらなくなるみたい。
長く飲んでいるほどリスクも上がるの?
60前の女性と普段骨折を気にする高齢者を一緒に考えても良いのかな?
メタアナリシスは、性別とか年齢そうがばらついてそうだけど、
統合しても大丈夫なのかしら?
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Proton pump inhibitors and risk of fractures: a meta-analysis of 11 international studies.
Am J Med. 2011 Jun;124(6):519-26.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21605729
P:?(解析の対象には、閉経後の女性と高齢の男性が多い)
I:PPIを服用すると
C:服用しない場合と比べて
O:骨折のリスクは上昇するのか?
害 コホート研究のシステマティックレビュー
【Methods】
1970年~2010.10.10までの期間で、
MEDLINE、EMBASE、Web of Science、BIOSISで検索した。
また、内分泌学会(1996-2009)とAACE(2002-2010)の年次総会プログラムを手で検索した。
EYとDBによってレビューを行い、相違は合意を形成した。
不一致の場合は第三者によって決定された。
Primary endpoint :股関節骨折(本人の申告、レントゲン、データベースのレビュー)
Secondary endpoints :他所の骨折や脊柱の骨折も含む
RRとORは対数変換し、同様に取り扱った
出版バイアスは、Begg’s and Egger’s tests を行い、funnel plotsを用いて対称性を検討した。
【Results】
文献:874文献を電子的に検索 → 11研究10文献をメタアナリシス
7件はデータベースを解析した症例対照研究、4件は前向きコホート研究
Primary endpoint
PPI(10試験) 合計:1084560件 PPI使用 :62210件 股関節骨折:71339件
PPI使用群の股関節骨折 RR 1.30(95% CI 1.19–1.43, I2=58%)H2阻害薬(8試験) 合計:1018544件 H2R使用:58334件 股関節骨折:66997件
H2RA使用群の股関節骨折 RR 1.10(95% CI 0.94–1.30, I2=78%)
その他の骨折も増加傾向。
未発表データ1件を含めた感度分析では、
骨折のリスクは弱まった RR 1.15 (95%CI 0.88–1.50)
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女性や高齢者のような骨折リスクの高い人は気をつけたほうが良いのかもしれない。
ただ、異質性は中程度なのですこし割り引く必要があるかも。
PPIによる骨折リスク増加の原因は、ディスカッションを見ると
胃酸↓によるCaの吸収量低下にあるかもしれないとあった。
FDAからも注意喚起が出ていたり、周知のことだったとは知らなかった。
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm213240.htm
長期使用で骨折のリスクの高い人には、
注意喚起をするなど日常でも活かせる様にしたい。
治療上必要な場合も多いだろうけど長期飲むならH2阻害薬なのかな?
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