2016年1月15日金曜日

整腸剤でピロリ菌除菌療法の副作用はどの程度予防できるの?


先日3剤併用療法以外のピロリ菌除菌療法を調べた際に
プロバイオティクス(整腸剤)を併用すると、
副作用のリスクが小さくなる(ランクが高い)ようなので、
どのくらい減るのか?が気になったので、調べてみた。


World J Gastroenterol. 2015 Apr 14;21(14):4345-57.

**************************
P ピロリ菌陽性の人
I  ピロリ菌の除菌療法にプロバイオティクス併用
C ピロリ菌の除菌療法単独、もしくは除菌療法+プラセボ
O 除菌率、副作用、コンプライアンス
<検索>
対  象:RCT(riple therapy, quadruple therapy, sequential therapy)
検  索:PubMed, EMBASE, Ovid, Cochrane Library,
     Chinese Biomedical Literature Database, Chinese Medical Current Content, 
     Chinese Scientific Journals database
言  語:制限無し
その他:学会抄録と参考文献の検索。
      clinicaltrials.govを検索。全文が見れない場合は著者に連絡した
<文献検索、データ抽出と評価>
2名が独立して行い、不一致は第三者を加えて合意を形成して解決した
<risk of bias>
コクランのrisk of bias ツールを使用
2名が独立して行い、不一致はディスカッションで合意を形成
出版バイアスは、funnn、Eggerの検定とBeggの検定
<結果>
除菌率(ITT)
 プロバイオティクス併用 82.31%
 単独 or プラセボ    72.08%
 RR = 1.13 (1.10 - 1.16, I2=15.4%)
副作用
 RR = 0.59 (0.48-0.71, I2=81.6%, P < 0.001)
コンプライアンス
 RR = 0.98 (0.68-1.39, I2=0%)
**************************

risk of biasのテーブルは記載なし。
出版バイアスは可能性あるが、trim and fill法をで調整しても結果は変わらなかったそう。
3剤併用療法以外も含まれる点は注意かも。
あと、副作用メタアナリシスの異質性は高い。

サブ解析で副作用ごとに発生率が出ていたので、和訳。












本当にそんなに減るのかは、少し割り引いて考えたほうがよいかも知れないけれど、
副作用は減る傾向にあるみたい。

上記の表だと下痢のNNTは13人。


整腸剤併用するのは、安いし、副作用もほぼないから悪くないのかな?

2016年1月6日水曜日

3剤併用療法以外のピロリ菌の除菌療法ってあるの?

日本では、
ピロリ菌の除菌療法=3剤併用療法
というのが常識だけど、他の除菌療法もあるようなので調べてみた。


除菌率を比較しているちょうど良い文献があったのでチラ見。

BMJ. 2015 Aug 19;351:h4052.

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P 18歳以上のピロリ菌の1次除菌をした患者
I  各療法
C 3剤併用療法7日間
O 除菌率

<検索>
対  象:異なるピロリ菌の1次除菌療法を比較した50人以上のRCT
検  索:Cochrane Library, PubMed,  Embase
言  語:制限無し
その他:参考文献を手検索
<文献抽出>
2名が独立して行った。不一致はディスカッションで解決した
<データ抽出>
2名が独立して行い、不一致は他に2名を加えてディスカッションで解決
<risk of bias>
2名が独立して評価。
Jadad scaleとコクランのrisk of bias ツールを使用
出版バイアスは、funnelプロットで検討
<その他>
直接比較のメタアナリシス以外に、
bayesian frameworkの中でネットワークメタアナリシスを行い、効果推定値を算出

<結果>

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risk of bias は、blindingでhigh risk of bias が多め。



比較している除菌療法は↓














除菌療法にもいろいろあるんだね。
文中では、3剤併用療法7日間の除菌率は0.73 (0.71 to 0.75) となっているので、
日ごろの除菌率とそんなに差がないような感じ。


以前調べた3剤併用療法+整腸剤も意外と結果が良い。(特に10日以上)
レボフロキサシンのレジメンは、3次除菌で自費で実施している病院もあるから、
あえて1次除菌でやらなくてもよいような気もする。



3剤併用療法7日間以外は、日本では保健適応外で自費になるので、
整腸剤を自分で併用するくらいが一番負担がなくてよいかも?

認容性等も検討してランク付けしているようなので、
ご興味のある方は原文でご確認を。




ピロリ菌の除菌療法では、
PPI→ボノプラザンにすると除菌率が良いということで、
パック製剤→タケキャブ+抗菌薬の組み合わせへ処方変更をするDrが
うちの地方は最近多いんだけど、武田以外のデータないかしら?

あと、ベイズ統計はよく分からないので勉強してみようかな。。


2015年11月19日木曜日

ヘモ(痔)の外用剤はどう違う?その2

ヘモの外用剤の違いの続き。


今度は坐剤の違い。










医療用ではヘモの軟膏と坐剤で、
同じ商品名でも1回量あたりの成分の含量が異なるのは知らなかった。
軟膏より1回量あたりの成分量が少ないのは、軟膏は容器に少し残るからか?


あと、ボラザG坐剤は局所麻酔含むから裂肛に適応あるかと思ってたんだけど、
内痔核の適応しかなかったのね。。
しかし、内痔核って一般的には痛くないから局所麻酔って必要なのかな??



次は、OTC


















安定のプレドニゾロンのボラギノールとヒドロコルチゾンのブリザエースの2系統がメイン。

ジーフォーとかザッスルは、
軟膏だとプレドニゾロンだけど、坐剤ではヒドロコルチゾンでステロイドが変わっている。
OTCだと1回量あたりの値段は、坐剤のほうがお得?



坐剤と軟膏でどちらの方が効果がある等の試験もなさそうなので、
使い心地で選べば良いのかなぁ。



Drからの依頼もあって、
ヘモの方に指導する際に注意しているのは下記かなぁ。

<共通>
・1日2回の場合は、時間は多少ずれても良いので1日2回使うことを重視して欲しい
・冷えたり、同じ姿勢が続くと血行悪くなりうっ血して状態が悪化しやすいので工夫を。
 →腹巻、毛糸のパンツ、入浴、円座、適宜休憩をおすすめ
・手術しない限りは急激な改善はしないので、気長に継続した方が良い
・長時間トイレやいきみすぎ(荷物等を持つのも含む)は、悪化因子

<軟膏>
・入れる際に滑りやすくするために軟膏をチューブの先に少しつけてから挿入
・軟膏がもれる場合は入れ方が浅いことが多いので、もう少し深めに入れてから注入
・保管温度によって硬さが変わる(夏は柔らかく、冬は硬い)

<坐剤>
・30度超えると溶けて使えなくなる場合あるので保管温度注意。
・入れづらい場合は、周りを少し温めて溶かすか、軟膏を少しつけるとすべりが良くなる。
・入れる際は指の第2関節ぐらいまで入れると戻って来づらい
・そこまで指を入れるのに抵抗がある場合は、
 ある程度入れたら立ち上がってお尻の筋肉に力を入れると良い。



痔は2足歩行の宿病らしいから、上手く付き合っていけると良いと思う。

2015年11月14日土曜日

ヘモ(痔)の外用剤はどう違う?その1


Drから依頼があり、
ヘモに使用する外用剤の違いについて確認したので、
そのまとめ。
 
ヘモの外用剤は、軟膏と坐剤があるので、
まずは軟膏から。

 
医療用の軟膏は、主に5種類。
 


 







主にステロイドの有無と局所麻酔の有無で分けられる。
適応もそれぞれ違うけど、
手術創に適応があるのはポステリザンのみ。
 
海外では、ニトログリセリンやCa阻害薬の軟膏もあるみたいだけれど、
国内では販売なし。
 
 
 
 
続いてOTC。
種類がたくさんあるので、良く売ってそうなものをピックアップ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
効きをよく感じさせるためか、医療用の軟膏に比べて色々入っている。
よくCMでやっている、ボラギノールとブリザエースの系統に分けられるかな?
医療用よりもステロイドの量が少し多め。

医療用では、プロクトセディルがOTCと近いかも。
 

 
そもそもGoliger 分類の3度以上の痔核は手術適応があることを知らない人も多いし、
「痔だったらがんだった」みたいな話もあるそうだから個人的には、受診がおすすめ。

値段的にも長期で使用する(長期で使用しないと改善しない)場合は、
OTC買うよりもDrの診察受けて薬を処方してもらった方が良いかもね。


次は、坐剤をまとめてみる。

2015年11月11日水曜日

新生児へのスキンケアはアトピー性皮膚炎の予防になる?

薬局に来ていた資生堂の広告?を見ていたら
面白そうなのが載ってたのでチラ見。
 
 
新生児にスキンケアをするとアトピー性皮膚炎や乳児湿疹の発生が押えられるか?
という比較試験。
 
 
 
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P アトピー性皮膚炎の家族歴のある新生児
I  乳液状の保湿剤(ドゥーエ)を1日1回以上使用+必要時ワセリンを使用
C 必要時ワセリンを使用
O アトピー性皮膚炎、乳児湿疹の累積発生率
 
新生児0週~32週追跡のRCT
 
<割付>
サイズ4の置換ブロック法でランダム割付
<盲検化>
患者:× 医療者:〇 評価者:〇 解析:?
<その他>
ITTとFASで解析
サンプルサイズ:α=0.05, power=80%, 脱落5%、
           アトピー性皮膚炎の罹患率47%、乳児湿疹の罹患率20%と仮定して各群37例
脱落 介入群:9/59(15.3%) 対照群:10/59(16.9%)
 
<outcome>
アトピー性皮膚炎、乳児湿疹
 介入 19/59
 対照 24/59
 ハザード比 0.48 (0.27 - 0.86)
 

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国立生育医療センターでの厚生労働省の研究費による研究

早期治療終了による脱落が想定より多いのは、
どちらも同じくらいで15%くらいだし、サンプル数は充足しているから気にしなくてもOK?
試験方法はしっかりしてそう。
結果には、皮膚炎の発症のほかに卵アレルギー等との関連も見ているけど、
そちらはとりあえず省略。
 
 
保湿剤は、資生堂の2e(ドゥーエ)を使っているみたい。保湿剤なら何でもよいのかな?
新生児向けに保湿してアトピー性皮膚炎の発症を見るという試験は
チラッと探したけど他には見つけられなかった。
 
NNT=12人/32週 で単価の割に効果も大きそうなので、
家族にアトピー既往や乾燥肌の人がいる場合は、
子どもの皮膚に乾燥を感じなくても予防的に保湿剤を使用しても良いのかも知れない。
(肌に合わない場合があるというリスクは伴うけど)
 
小児科前に手伝いに行った時に必要そうな人がいれば、
様子見てスキンケアを勧めてみようかな。

2015年10月10日土曜日

高齢者の積極的な運動は骨折予防になる?

ご近所にフィットネス設備があるリハビリ特化のデイケアができた
開所前に見学に行ったのだけど、器具もきれいで、専門のスタッフも配置され、感じが良かった。
 
 
運動すると刺激により骨密度が上がり易くなり、
骨折が減るなんて聞いたこともあるけど、どうなのかな?とおもい調べてみた。
 
 
 
閉経後の女性へ運動療法を行った場合の
骨粗鬆症の予防効果のコクランレビューがあったので、チラ見。

 
 
*********************************
P 健康な45歳-70歳の閉経後の女性
I  運動療法
C 通常の活動
O 骨折数、骨密度、転倒

<検索>
対  象:運動療法を介入としたRCT
検  索:CENTRAL、Medline、Embase、Current Contents
           HealthSTAR、SportsDiscus、CINAHL、PEDro、Web of Science、AMED
言  語:制限無し
その他:参考文献まで調べ、専門家へ連絡をとった
<文献抽出と評価>
2名が独立して行った。不一致は合意を形成するか、第三者が解決した
<risk of bias>
コクランのrisk of bias ツールを使用
不一致はディスカッションで合意を形成
出版バイアスは、funnelプロットで検討
<結果>
・骨折(4試験)
 exercise  17/312
 control  24/227
 OR = 0.61 (0.23 to 1.64, I2=37%)
・脊柱の骨密度(24試験1441人)
 MD +0.85% (0.62 to 1.07)
*********************************

エビデンスの質は、high
全体的に規模の小さい試験多くて、対象者も多くないし、
risk of biasも黄色が多いけど・・・?
weightの大きい試験の確度が高いからかな?

結果では、骨折の頻度では有意差なしだけど、
骨密度は骨盤以外の脊柱、大腿骨では、運動すると上昇傾向。

ただし、転倒やその他副作用は運動群の方が多いみたい。

検索に含まれた運動は、
自重負荷で静止したり、動いたり(強・弱)、
荷重で筋力トレーニング(強・弱)、コンビネーションだったりいろいろある。
サブグループ解析もたくさん載っているけど、
どう見て、どう考えたら良いのかが私には分からない・・・

フィットネスの器具でやるようなやつは、
Non-weight bearing exercise low force  (NWBLF)
Non-weight bearing exercise high force  (NWBHF)
っていうのになるのかな?



こんなのもあった
国際骨粗鬆症財団(IOF)の骨粗鬆症の高齢者への運動の推奨
 

骨粗鬆症の高齢者への推奨
  1.バランストレーニングと筋力トレーニングを組み合わせた
    複合的な運動プログラムの実施を強く推奨
  2.バランストレーニングや筋力トレーニングを伴わない有酸素運動をしないよう提案

骨粗鬆症性の脊椎骨折の既往がある高齢者への推奨
  1.バランストレーニングと筋力トレーニングを組み合わせた
    複合的な運動プログラムの実施を強く推奨
    理学療法士への相談は、安全で適切な運動を確保するために推奨される
  2.バランストレーニングや筋力トレーニングを伴わない有酸素運動をしないよう提案


上記のガイドラインの中では、
運動による転倒予防のエビデンスの質は高、骨密度、骨折では低となっている。



 
骨折の予防という観点でみると、骨密度より転倒予防に重点を置いたほうがよいのかな。

何でも良いから体を動かせ!運動しろ!というよりは、
バランス感覚を養って転びにくくし、踏ん張れる筋力をつけることで、
骨折につながる転倒をしないようにするトレーニングを行うことが大切なんだろうね。
 

膝が痛いのとかも、筋肉量が増えると症状が軽くなるから、
高齢者が出来る範囲で運動?(トレーニング?)をするのは良いことでしょう。

リハビリについては門外漢だから詳しいことは分からないけど、
こういう情報みると薬屋が出来ることは限られていて、他職種連携って大切なんだなぁと思う。

2015年9月11日金曜日

メサラジンの高用量の有効性は8週間まで?

メサラジンの寛解導入を目指す場合の高用量は
添付文書上8週までの制限があると初めて知った。
 
 
正確には、ペンタサ4000mgとか、アサコール3600mgだと、
「8週を超えた場合の安全性・有効性は確立していない」と書いてある
 
減量すると炎症が再燃するからと
添付文書上の最大量を使っている方が、何人かいたので普通だと思っていたが、
用量確認の疑義照会が8週を超えると一応必要だったらしい。
 
 
 
8週を超えた有効性、安全性の試験はないかな?
と思い探してみた。
ぱっと見つけられたのが下記。
 
 
*********************************
P 4.0g/日のメサラジンによる寛解導入療法を受けた潰瘍性大腸炎の患者
I  長期間治療(105日より長期)
C 短期間治療(105日以下)
O 再発頻度、治療開始から再発までの期間
長崎IBD研究グループのデータ解析による後向きコホート研究
<コホート>
2008年1月~2012年3月の期間に
Nagasaki IBD study group 内の病院、医院で、
メサラジン4g/日の寛解導入療法を受けて改善~寛解した人人
アザチオプリン/メルカプトプリンを併用した人は除外(24名)
180人治療→139人寛解→115人解析
<メサラジン服用期間の数え方>
4.0g/日メサラジン開始~4.0g/日メサラジン服用中止
4.0g/日メサラジン開始~2012.9.1
(中央値が105日)
<記載されている交絡因子>
年齢、性別、罹患期間、大腸の炎症の範囲
2群間の差を検定。多変量解析による調整はなし。
 
<outcome>
長期服用(57人 服用期間:425.7±267.7日)
  再発17人  (29.8%)
  再発までの期間 425.6±243.8日
短期服用(58人 服用期間:54.5±25.6日)
  再発28人  (48.3%)
  再発までの期間 277.4±224.5
 
副作用:下痢、呼吸困難、肝機能障害、薬剤性エリテマトーデスが1名ずつ
*********************************
 
 
服用期間を比べると、添付文書どおり8週vs長期服用という感じ?
 
長期服用群では、
再発人数は少ないけど、平均再発期間と平均服用期間がだいたい同じ
というのはどう解釈したらよいんだろう・・・
観察研究だから、長期服用群に維持量だと再発しやすい人が多い?
Drが経験上悪くなりそうな症例だから、4g/日で継続させたとかもあるのかな?
 
 
結果としては、4g/日を寛解導入後に飲んでいれば、
通常用量へ戻すと再燃する人でも寛解維持ができるかもという傾向にはあるみたい。
副作用は通常用量に比べて多いのかは判断が付かない。
 
 
 
添付文書に書いてある8週以上の有効性の確証が全くないわけではなさそう?
 
再審査期間もペンタサは2006年、アサコールは2013年に終わっているから、
疑義照会をする際は、すっとこどっこいな聞き方をしないように気をつけたい。