老若男女を問わず、証も気にしなくても影響少ないので使いやすいのか、
よくFDの患者さんにも出るので気になって調べてみた。
六君子湯:rikkunshi-to、 (中国語読み)LiuJunZi-tang(decoction)
機能性ディスペプシア(Function Dyspepsia:FD)
→逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍などの器質的疾患がない上腹部症状
・食後愁訴症候群(PDS):もたれ、膨満感
・心窩部痛症候群(EPS):みぞおちの痛み、灼熱感
Efficacy of modified LiuJunZi decoction on functional dyspepsia of spleen-deficiency and qi-stagnation syndrome: a randomized controlled trial.
BMC Complement Altern Med. 2013 Mar 2;13:54.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23453018
P:気滞や脾気虚を伴うFDの患者に対して
I:改良六君子湯を使用することは
C:プラセボと比較して
O:症状は改善するのか?
qi-stagnation syndrome:気滞
spleen-deficiency :脾気虚
二重盲検ランダム化比較試験
160名を改良六君子湯(CHM群)とプラセボに2:1で隠蔽化してランダム割付を行った。
被験者は、
1.RomeⅢのFDの診断基準を満たす
2.気滞や脾気虚の症状がある
3.18歳~65歳
4.インフォームドコンセントを行った
胃に器質的な異常がある患者、
GERDや過敏性大腸炎とかぶる症状を持つ患者は除外した。
<改良六君子湯 処方>
16.5% 党参(Pilose Asiabell Root)
11.0% 白朮(Largehead Atractylodes Rhizoma) 〇
11.0% 茯苓(Indian Buead) 〇
5.0% 甘草(Liquorice Root) 〇
11.0% 厚朴(Cortex Mangnoliae officinalis)
11.0% 川木香(Common Vladimiria Root)
6.5% 砂仁(Villous Amomrum Fruit)
16.5% 延胡索(Rhizoma Corydalis)
11.0% 半夏(Pinellia Tuber) 〇
上記処方のエキス製剤(顆粒)とプラセボ顆粒を
70℃のお湯300mLに溶かし、1日2回50℃で150mLずつ服用。
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日本の六君子湯は、
白朮、茯苓、人参、半夏、陳皮、大棗、生姜、甘草。上で入っているのに〇した。
香砂六君子湯に近い?延胡索とか厚朴が入ると安中散、平胃散のような感じ?
日本の六君子湯とは別物?
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TDS(Total dyspepsia symptom scale)
8つの症状(食後膨満感、早期満腹感、心窩部痛、心窩部灼熱感、吐き気、嘔吐、げっぷ、その他)について0~3の点数で評価した。
SDS(Single dyspepsia symptom scale )
FDの主要4症状(食後膨満感、早期満腹感、心窩部痛、心窩部灼熱感)について、
頻度、症状の強さ、不快感の3点について0~3点で評価した。
Secondary Outcome
バリウムによる胃内排出速度の比較
解析はITTで行った。
TDSの変化(医師による評価) |
〇結果
TDS
医師評価、患者評価ともにCHM群で
有意に減少
4週で Z = -4.629、P <0.01
SDS
結果↓
全体的にCHM群に有意差がついたが、
4週では心窩部痛が、
8週では灼熱感が有意差がつかなかった。
医師と患者の評価に大きな差はなかった。
排出速度
バリウムマーカーが
CHM群(5.16±7.53)
プラセボ群(1.50±3.21)(P = 0.036)
で有意差あり。
排出速度
バリウムマーカーが
CHM群(5.16±7.53)
プラセボ群(1.50±3.21)(P = 0.036)
で有意差あり。
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心窩部痛、灼熱感は、PPI等の方が改善しやすいのかな?
PPIの上部消化器症状に対するものだと、
吐き気等が改善しにくかったような記憶がある。
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六君子湯でも中国と日本では指す処方内容が異なるかも知れないので
あまり参考にならないのかも知れない。
日本ではあまり証にこだわらず使っているような気もする。
日本の六君子湯の論文は日本語のが多い。
ツムラさんから医学のあゆみ 1998年、187巻、p207-29
をFAXで送って貰ったので、読んでみようと思う。
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