2015年4月24日金曜日

メサラジンは潰瘍性大腸炎患者の大腸がんの予防になる?


先月社内の勉強会で、潰瘍性大腸炎について学習した。

・腹痛、下血等の自覚症状がない≠大腸の炎症がない(粘膜治癒)
・潰瘍性大腸炎の既往がある人は、大腸がんのリスクが高い
 診療ガイドラインによると、10年で2%、20年で8%、30年で18%で合併が認められると

というのは、知らなかったので今後の仕事にも活かしたい。
定期的に大腸内視鏡を実施するのにも理由があったのね。


寛解維持のために
メサラジン(5-ASA:ペンタサ、アサコール)がよく処方されるのを見かけるが、
飲み忘れが多かったりするコンプライアンスが悪い人もいたりするので、
5-ASAの服用は大腸がんの予防になるのか?が気になったので調べてみた。
(いわゆるがんの化学予防)


ぱっと検索して引っかかってきたのが↓のレビュー
Curr Clin Pharmacol. 2014 Feb;9(1):84-90.

2つのメタアナリシスが矛盾した結果を示すが、
ECCO(欧州がん学会)は5-ASAの長期的使用を推奨するとあるので、
その矛盾した2つのメタアナリシスを読んでみる。


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Am J Gastroenterol. 2005 Jun;100(6):1345-53.

P 潰瘍性大腸炎(UC)の患者
I  5-ASA製剤を使用
C 使っていない人
O 大腸がん(CRC)、異形成

観察研究のシステマティックレビュー

<検索>
Medline, Embase, Biosis, Web of Science, Cochrane library
主要な学会雑誌をハンドサーチ(AGA, ACG, BSG, UEGW)
<対象>
UCに対して5-ASAを暴露因子、CRCか異形成をアウトカムとしてみており、
リスク比やオッズ比が求められる試験

<Study selection >
検索者についての記載なし

<Data extraction
2名が独立して行い、不一致は合意を形成した

<risk of bias>
特定の評価方法はとっていない

1.未調整のOR比を使用する、2.異質性の判定をP<0.1、
3.研究を除外した場合の統計的な影響を評価、4.いくつかの項目で層別化し調整
<出版バイアス>
ファンネルプロットとケンドール順位相関係数


<outcome>
大腸がん        OR 0.51 (0.37–0.69, P=0.46)  ← 2 cohort  4 case-control
異形成          OR 1.18 (0.41–3.43, P=0.18)  ← 1 cohort  1 case-control
大腸がん&異形成  OR 0.51 (0.38–0.69, P=0.38)  ← 3 cohort  6 case-control
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コホート研究と症例対照研究をメタアナリシスしてよいのかはよく分からない。
前のレビューでは個別に試験結果を記載してあった。



もう一個の方は全文が見れない↓
Am J Gastroenterol. 2012 Sep;107(9):1298-304

非紹介の4つの観察研究で、調整OR 0.95 (0.66-1.38, I2 = 58.2%)
9つの病院ベースの研究で、調整OR 0.58 (95% CI: 0.45-0.75)
とアブストラクトからだと結果が異なる様子。

比較対象が異なっている、紹介バイアスというやつかしら?



がんの予防になるかどうかは、確証がないのでなんとも言えないけれど、
寛解維持になるし、メサラジン製剤はきっちり飲むように指導することは大切なんだろうと思う。

しかし、いつも処方が来るたびに思うけれど、1日3回飲むのは大変そう・・・