2015年11月19日木曜日

ヘモ(痔)の外用剤はどう違う?その2

ヘモの外用剤の違いの続き。


今度は坐剤の違い。










医療用ではヘモの軟膏と坐剤で、
同じ商品名でも1回量あたりの成分の含量が異なるのは知らなかった。
軟膏より1回量あたりの成分量が少ないのは、軟膏は容器に少し残るからか?


あと、ボラザG坐剤は局所麻酔含むから裂肛に適応あるかと思ってたんだけど、
内痔核の適応しかなかったのね。。
しかし、内痔核って一般的には痛くないから局所麻酔って必要なのかな??



次は、OTC


















安定のプレドニゾロンのボラギノールとヒドロコルチゾンのブリザエースの2系統がメイン。

ジーフォーとかザッスルは、
軟膏だとプレドニゾロンだけど、坐剤ではヒドロコルチゾンでステロイドが変わっている。
OTCだと1回量あたりの値段は、坐剤のほうがお得?



坐剤と軟膏でどちらの方が効果がある等の試験もなさそうなので、
使い心地で選べば良いのかなぁ。



Drからの依頼もあって、
ヘモの方に指導する際に注意しているのは下記かなぁ。

<共通>
・1日2回の場合は、時間は多少ずれても良いので1日2回使うことを重視して欲しい
・冷えたり、同じ姿勢が続くと血行悪くなりうっ血して状態が悪化しやすいので工夫を。
 →腹巻、毛糸のパンツ、入浴、円座、適宜休憩をおすすめ
・手術しない限りは急激な改善はしないので、気長に継続した方が良い
・長時間トイレやいきみすぎ(荷物等を持つのも含む)は、悪化因子

<軟膏>
・入れる際に滑りやすくするために軟膏をチューブの先に少しつけてから挿入
・軟膏がもれる場合は入れ方が浅いことが多いので、もう少し深めに入れてから注入
・保管温度によって硬さが変わる(夏は柔らかく、冬は硬い)

<坐剤>
・30度超えると溶けて使えなくなる場合あるので保管温度注意。
・入れづらい場合は、周りを少し温めて溶かすか、軟膏を少しつけるとすべりが良くなる。
・入れる際は指の第2関節ぐらいまで入れると戻って来づらい
・そこまで指を入れるのに抵抗がある場合は、
 ある程度入れたら立ち上がってお尻の筋肉に力を入れると良い。



痔は2足歩行の宿病らしいから、上手く付き合っていけると良いと思う。

2015年11月14日土曜日

ヘモ(痔)の外用剤はどう違う?その1


Drから依頼があり、
ヘモに使用する外用剤の違いについて確認したので、
そのまとめ。
 
ヘモの外用剤は、軟膏と坐剤があるので、
まずは軟膏から。

 
医療用の軟膏は、主に5種類。
 


 







主にステロイドの有無と局所麻酔の有無で分けられる。
適応もそれぞれ違うけど、
手術創に適応があるのはポステリザンのみ。
 
海外では、ニトログリセリンやCa阻害薬の軟膏もあるみたいだけれど、
国内では販売なし。
 
 
 
 
続いてOTC。
種類がたくさんあるので、良く売ってそうなものをピックアップ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
効きをよく感じさせるためか、医療用の軟膏に比べて色々入っている。
よくCMでやっている、ボラギノールとブリザエースの系統に分けられるかな?
医療用よりもステロイドの量が少し多め。

医療用では、プロクトセディルがOTCと近いかも。
 

 
そもそもGoliger 分類の3度以上の痔核は手術適応があることを知らない人も多いし、
「痔だったらがんだった」みたいな話もあるそうだから個人的には、受診がおすすめ。

値段的にも長期で使用する(長期で使用しないと改善しない)場合は、
OTC買うよりもDrの診察受けて薬を処方してもらった方が良いかもね。


次は、坐剤をまとめてみる。

2015年11月11日水曜日

新生児へのスキンケアはアトピー性皮膚炎の予防になる?

薬局に来ていた資生堂の広告?を見ていたら
面白そうなのが載ってたのでチラ見。
 
 
新生児にスキンケアをするとアトピー性皮膚炎や乳児湿疹の発生が押えられるか?
という比較試験。
 
 
 
**********************************************
 
P アトピー性皮膚炎の家族歴のある新生児
I  乳液状の保湿剤(ドゥーエ)を1日1回以上使用+必要時ワセリンを使用
C 必要時ワセリンを使用
O アトピー性皮膚炎、乳児湿疹の累積発生率
 
新生児0週~32週追跡のRCT
 
<割付>
サイズ4の置換ブロック法でランダム割付
<盲検化>
患者:× 医療者:〇 評価者:〇 解析:?
<その他>
ITTとFASで解析
サンプルサイズ:α=0.05, power=80%, 脱落5%、
           アトピー性皮膚炎の罹患率47%、乳児湿疹の罹患率20%と仮定して各群37例
脱落 介入群:9/59(15.3%) 対照群:10/59(16.9%)
 
<outcome>
アトピー性皮膚炎、乳児湿疹
 介入 19/59
 対照 24/59
 ハザード比 0.48 (0.27 - 0.86)
 

**********************************************
 
 
国立生育医療センターでの厚生労働省の研究費による研究

早期治療終了による脱落が想定より多いのは、
どちらも同じくらいで15%くらいだし、サンプル数は充足しているから気にしなくてもOK?
試験方法はしっかりしてそう。
結果には、皮膚炎の発症のほかに卵アレルギー等との関連も見ているけど、
そちらはとりあえず省略。
 
 
保湿剤は、資生堂の2e(ドゥーエ)を使っているみたい。保湿剤なら何でもよいのかな?
新生児向けに保湿してアトピー性皮膚炎の発症を見るという試験は
チラッと探したけど他には見つけられなかった。
 
NNT=12人/32週 で単価の割に効果も大きそうなので、
家族にアトピー既往や乾燥肌の人がいる場合は、
子どもの皮膚に乾燥を感じなくても予防的に保湿剤を使用しても良いのかも知れない。
(肌に合わない場合があるというリスクは伴うけど)
 
小児科前に手伝いに行った時に必要そうな人がいれば、
様子見てスキンケアを勧めてみようかな。

2015年10月10日土曜日

高齢者の積極的な運動は骨折予防になる?

ご近所にフィットネス設備があるリハビリ特化のデイケアができた
開所前に見学に行ったのだけど、器具もきれいで、専門のスタッフも配置され、感じが良かった。
 
 
運動すると刺激により骨密度が上がり易くなり、
骨折が減るなんて聞いたこともあるけど、どうなのかな?とおもい調べてみた。
 
 
 
閉経後の女性へ運動療法を行った場合の
骨粗鬆症の予防効果のコクランレビューがあったので、チラ見。

 
 
*********************************
P 健康な45歳-70歳の閉経後の女性
I  運動療法
C 通常の活動
O 骨折数、骨密度、転倒

<検索>
対  象:運動療法を介入としたRCT
検  索:CENTRAL、Medline、Embase、Current Contents
           HealthSTAR、SportsDiscus、CINAHL、PEDro、Web of Science、AMED
言  語:制限無し
その他:参考文献まで調べ、専門家へ連絡をとった
<文献抽出と評価>
2名が独立して行った。不一致は合意を形成するか、第三者が解決した
<risk of bias>
コクランのrisk of bias ツールを使用
不一致はディスカッションで合意を形成
出版バイアスは、funnelプロットで検討
<結果>
・骨折(4試験)
 exercise  17/312
 control  24/227
 OR = 0.61 (0.23 to 1.64, I2=37%)
・脊柱の骨密度(24試験1441人)
 MD +0.85% (0.62 to 1.07)
*********************************

エビデンスの質は、high
全体的に規模の小さい試験多くて、対象者も多くないし、
risk of biasも黄色が多いけど・・・?
weightの大きい試験の確度が高いからかな?

結果では、骨折の頻度では有意差なしだけど、
骨密度は骨盤以外の脊柱、大腿骨では、運動すると上昇傾向。

ただし、転倒やその他副作用は運動群の方が多いみたい。

検索に含まれた運動は、
自重負荷で静止したり、動いたり(強・弱)、
荷重で筋力トレーニング(強・弱)、コンビネーションだったりいろいろある。
サブグループ解析もたくさん載っているけど、
どう見て、どう考えたら良いのかが私には分からない・・・

フィットネスの器具でやるようなやつは、
Non-weight bearing exercise low force  (NWBLF)
Non-weight bearing exercise high force  (NWBHF)
っていうのになるのかな?



こんなのもあった
国際骨粗鬆症財団(IOF)の骨粗鬆症の高齢者への運動の推奨
 

骨粗鬆症の高齢者への推奨
  1.バランストレーニングと筋力トレーニングを組み合わせた
    複合的な運動プログラムの実施を強く推奨
  2.バランストレーニングや筋力トレーニングを伴わない有酸素運動をしないよう提案

骨粗鬆症性の脊椎骨折の既往がある高齢者への推奨
  1.バランストレーニングと筋力トレーニングを組み合わせた
    複合的な運動プログラムの実施を強く推奨
    理学療法士への相談は、安全で適切な運動を確保するために推奨される
  2.バランストレーニングや筋力トレーニングを伴わない有酸素運動をしないよう提案


上記のガイドラインの中では、
運動による転倒予防のエビデンスの質は高、骨密度、骨折では低となっている。



 
骨折の予防という観点でみると、骨密度より転倒予防に重点を置いたほうがよいのかな。

何でも良いから体を動かせ!運動しろ!というよりは、
バランス感覚を養って転びにくくし、踏ん張れる筋力をつけることで、
骨折につながる転倒をしないようにするトレーニングを行うことが大切なんだろうね。
 

膝が痛いのとかも、筋肉量が増えると症状が軽くなるから、
高齢者が出来る範囲で運動?(トレーニング?)をするのは良いことでしょう。

リハビリについては門外漢だから詳しいことは分からないけど、
こういう情報みると薬屋が出来ることは限られていて、他職種連携って大切なんだなぁと思う。

2015年9月11日金曜日

メサラジンの高用量の有効性は8週間まで?

メサラジンの寛解導入を目指す場合の高用量は
添付文書上8週までの制限があると初めて知った。
 
 
正確には、ペンタサ4000mgとか、アサコール3600mgだと、
「8週を超えた場合の安全性・有効性は確立していない」と書いてある
 
減量すると炎症が再燃するからと
添付文書上の最大量を使っている方が、何人かいたので普通だと思っていたが、
用量確認の疑義照会が8週を超えると一応必要だったらしい。
 
 
 
8週を超えた有効性、安全性の試験はないかな?
と思い探してみた。
ぱっと見つけられたのが下記。
 
 
*********************************
P 4.0g/日のメサラジンによる寛解導入療法を受けた潰瘍性大腸炎の患者
I  長期間治療(105日より長期)
C 短期間治療(105日以下)
O 再発頻度、治療開始から再発までの期間
長崎IBD研究グループのデータ解析による後向きコホート研究
<コホート>
2008年1月~2012年3月の期間に
Nagasaki IBD study group 内の病院、医院で、
メサラジン4g/日の寛解導入療法を受けて改善~寛解した人人
アザチオプリン/メルカプトプリンを併用した人は除外(24名)
180人治療→139人寛解→115人解析
<メサラジン服用期間の数え方>
4.0g/日メサラジン開始~4.0g/日メサラジン服用中止
4.0g/日メサラジン開始~2012.9.1
(中央値が105日)
<記載されている交絡因子>
年齢、性別、罹患期間、大腸の炎症の範囲
2群間の差を検定。多変量解析による調整はなし。
 
<outcome>
長期服用(57人 服用期間:425.7±267.7日)
  再発17人  (29.8%)
  再発までの期間 425.6±243.8日
短期服用(58人 服用期間:54.5±25.6日)
  再発28人  (48.3%)
  再発までの期間 277.4±224.5
 
副作用:下痢、呼吸困難、肝機能障害、薬剤性エリテマトーデスが1名ずつ
*********************************
 
 
服用期間を比べると、添付文書どおり8週vs長期服用という感じ?
 
長期服用群では、
再発人数は少ないけど、平均再発期間と平均服用期間がだいたい同じ
というのはどう解釈したらよいんだろう・・・
観察研究だから、長期服用群に維持量だと再発しやすい人が多い?
Drが経験上悪くなりそうな症例だから、4g/日で継続させたとかもあるのかな?
 
 
結果としては、4g/日を寛解導入後に飲んでいれば、
通常用量へ戻すと再燃する人でも寛解維持ができるかもという傾向にはあるみたい。
副作用は通常用量に比べて多いのかは判断が付かない。
 
 
 
添付文書に書いてある8週以上の有効性の確証が全くないわけではなさそう?
 
再審査期間もペンタサは2006年、アサコールは2013年に終わっているから、
疑義照会をする際は、すっとこどっこいな聞き方をしないように気をつけたい。

2015年8月7日金曜日

薬剤師が積極的に介入すると治療効果があがる?


福島県の会津地方では、
病院薬剤師と薬局薬剤師の連携(いわゆる薬薬連携)の
一環として「会津お薬手帳」というものがある。
 
普通の手帳にアセスメントページというのが、加わっているのが特徴。



  
その勉強会で、薬剤師の介入の違いによる治療効果について
検討しているRCTが紹介されていたのでチラ見。
(全文は見れないので詳細は不明)

 
********************************
P 高血圧で未治療の18歳以上の成人
I  通常のケア
C 強化したケア
O 6ヵ月後の収縮期血圧の変化量
 
カナダのアラバマ州でのオープンラベルRCT
 
<通常のケア>
 3ヶ月に1回の受診。
 wallet card への血圧の記録、血圧に関するパンフレット、内科医と薬剤師による通常のケア
<強化したケア>
 月に1回の薬剤師によるフォローアップ
 血圧コントロールのチェック、治療のゴール、血圧管理のための生活習慣の改善などの
 心血管リスクを減らすための評価。
 現在の高血圧治療の処方内容が適切かどうかのチェックと
 追加の治療オプション(生活習慣の改善、薬の増量、薬の追加)の提案。
 
<outcome>
6ヵ月後の収縮期血圧の下降幅
 通常のケア   11.8±1.9 mmHg
 強化したケア 18.3±1.2 mmHg
目標血圧への到達者数
 OR 2.32 (1.17-4.15)
********************************
 
 
 直接性の観点からみると
カナダと日本ではたぶん制度がちがう(詳しくしらない)ので、
日本の薬剤師ががんばれば同じように成果が上がるのかは不明。
 
あと、薬剤師じゃなくて看護士とか栄養士じゃダメなのか?とかも同様に不明。
処方内容に介入するようなので、薬剤師が適当なんだろうけどね。
全文読んでみたいなぁ。
 
 
しかし、薬剤師が介入することで、追加コストを掛けずに治療効果が上がるよ!
ってアピールできたら、よく出る薬剤師不要論も有益な議論に変わるんだろうと思う。
日本でもどこかで試験やっていないのかしら?
 
 
自分の仕事が有意義であると信じたいのは誰でも同じだと思うので
周囲の人にいてくれて良かったと言って貰えるように、日々の仕事をがんばろー

2015年7月23日木曜日

ロキソニン錠とテープでは、どのくらい血中濃度が違うの?

病院の先生から、
ロキソニンテープを貼るのと錠剤のむのはどのくらい血中濃度違うの?
と質問があったので調べてみた。
 
 
 
インタビューフォームによると、
 
ロキソプロフェンは、T1/2 = 1.22 hr
活性代謝物のtrans-OH体 T1/2 = 1.33 hr
 
 
AUCもインタビューフォームによると、
 
ロキソニン錠60mg 単回 内服
6.70±0.26 μg・hr/mL
trans-OH 体 2.02±0.05 μg・hr/mL
 
ロキソニンテープ100mg 1日1回5日間 貼付
5,281±1,704 ng・hr/mL (5.28 μg・hr/mL)
trans-OH 体 2,278±863 (2.28 μg・hr/mL)
 
 
強引だけど、単回のAUCが記載なかったので、テープの方を5で割ると
1日1回1枚だとAUC = 1.06  μg・hr/mL
 
6枚貼ると1錠分くらい?
1日3回内服するけど、半減期が短いのでAUCは単純に3倍でだいたい良さそう。

シップを1日18枚貼ると内服3回と同程度のAUCが得られるかも。
(そんなにたくさん貼れるかは知らない・・・)

 
 
ロキソプロフェンってプロドラッグだっけ?と思い出したので、
ロキソプロフェンとtrans-OH体の薬理活性がどのくらい違うのか?
をメーカーさんへ電話で確認した。
 
******************
抗炎症作用 1.2 対 1.3
鎮痛作用   0.76 対 1.1
※ロキソプロフェン 対 trans-OH体 (聞き忘れで両方とも単位不明)
trans-OH体よりロキソプロフェンの方が、
小腸潰瘍の発生頻度が低かったのでロキソプロフェンで製品開発した。
******************

とのことだった。
 

 
シップによるロキソプロフェンのままの吸収でも
抗炎症、鎮痛効果はあまり変わらなさそうなので、
無理にシップをたくさん貼るよりは内服したほうが良いのかもしれない。

2015年6月22日月曜日

DPP-4阻害薬で急性膵炎のリスクって上がるの?

新しくDPP-4阻害薬が処方になった患者さんへ交付をしていたら、
2年位前に急性膵炎で入院したことがあると言われ、
添付文書の副作用に膵炎って書いてあるけど大丈夫なのか?
と疑問に思ったので調べてみた。
(その場は、Drへ既往を報告後、膵炎の初期症状をおさらいしそのまま交付した)
 
 
膵炎既往の人に対して使用した際のリスクについては試験がなさそうなので、
一般的にDPP-4阻害薬を使用した場合の膵炎リスクについて調べてみる。
 
 
****************************
P 2型糖尿病の患者
I  GLP-1作動薬、DPP-4阻害薬
C プラセボ、生活習慣の改善、他の糖尿病薬
O 急性膵炎発生数
  システマティックレビュー
 
<検索>
対象:12週以上のランダム化比較試験、比較試験、コホート研究、症例対照研究
データベース:Medline、Embase、CENTRAL、ClinicalTrials.gov
言語:制限無し
<文献抽出と評価>
独立して2名で行い、不一致は話し合い、合意が得られない場合は第3者が解決
<risk of bias>
介入試験:コクランのrisk of bias ツール
観察試験:Newcastle-Ottawa 品質評価スケール
出版バイアスは評価していない
<結果>
RCT・・・55試験(33227人)のメタアナリシス
 incretin 23 / 20127
 control  14 / 13100
 OR 1.11 (0.57 to 2.17 , I2=17%)
観察研究・・・3件のコホート研究、2件の症例対照研究
 JAMA Intern Med. 2013 Apr 8;173(7):534-9. 以外はORは1付近で有意差なし
 (メタアナリシスはしていない)
 
****************************
 
RCTで0.11%、コホート研究で0.47%の発生率で、
インクレチン関連薬で膵炎のリスクが増えるとはいえないそう。
サブグループ解析でDPP-4群だけ見ても余り結果は変わらない様子。
ただRCTは、異質性は低めだけれど、
発生率が低く各試験の標準誤差が大きいので、正確性は低いかも?
 
 
 
一応、上で記載のあった症例対照研究も見てみる。
 
 
****************************
P Blue Cross Blue Shieldの保険に加入している18~64歳で
  2005/2/1~2008/12/31に2型糖尿病と診断され薬物治療を受けた人
I  エキセナチド、シタグリプチン
C それ以外の糖尿病薬
O 急性膵炎による入院
  110万人のデータベース解析による症例対照研究
 
<症例>
期間中の任意の時点で急性膵炎で入院の記録があった人
(1回目の処方から3ヶ月以内は除外)
<対照>
年齢、性別、加入保険、DSCI、加入パターン、追跡期間、
が症例群と同じようになるようにランダム抽出
<交絡因子>
高脂血症、飲酒、喫煙、胆石、肥満、胆管/膵臓癌、嚢胞性線維症、がん
医療費の水準(resource utility band)
(条件付ロジスティック回帰解析で調整)
<結果>
エキセナチド、シタグリプチンの使用歴あり
調整OR 2.07 (1.36 - 3.13)
 
****************************
 
 
DPP-4阻害薬によって急性膵炎のリスクが、
増えるか、増えないかはよく分からない(あまり変わらなさそうではある)けど、
発生率自体も低いから日常ではあまり気にしなくてもよいのかも知れない。
 
しかし、日本だと実際に使われている第一選択薬がDPP-4阻害薬になっている
ような印象もあって、処方が良く来るので気にした方が良いのか??
そのもそも膵炎の既往があるとまた膵炎になるリスクって高いの?
 
 
患者さんはあんまり気にしてなかったけど、
こないだのはどう対応したらより良かったんだろう。。

2015年4月24日金曜日

メサラジンは潰瘍性大腸炎患者の大腸がんの予防になる?


先月社内の勉強会で、潰瘍性大腸炎について学習した。

・腹痛、下血等の自覚症状がない≠大腸の炎症がない(粘膜治癒)
・潰瘍性大腸炎の既往がある人は、大腸がんのリスクが高い
 診療ガイドラインによると、10年で2%、20年で8%、30年で18%で合併が認められると

というのは、知らなかったので今後の仕事にも活かしたい。
定期的に大腸内視鏡を実施するのにも理由があったのね。


寛解維持のために
メサラジン(5-ASA:ペンタサ、アサコール)がよく処方されるのを見かけるが、
飲み忘れが多かったりするコンプライアンスが悪い人もいたりするので、
5-ASAの服用は大腸がんの予防になるのか?が気になったので調べてみた。
(いわゆるがんの化学予防)


ぱっと検索して引っかかってきたのが↓のレビュー
Curr Clin Pharmacol. 2014 Feb;9(1):84-90.

2つのメタアナリシスが矛盾した結果を示すが、
ECCO(欧州がん学会)は5-ASAの長期的使用を推奨するとあるので、
その矛盾した2つのメタアナリシスを読んでみる。


*******************************
Am J Gastroenterol. 2005 Jun;100(6):1345-53.

P 潰瘍性大腸炎(UC)の患者
I  5-ASA製剤を使用
C 使っていない人
O 大腸がん(CRC)、異形成

観察研究のシステマティックレビュー

<検索>
Medline, Embase, Biosis, Web of Science, Cochrane library
主要な学会雑誌をハンドサーチ(AGA, ACG, BSG, UEGW)
<対象>
UCに対して5-ASAを暴露因子、CRCか異形成をアウトカムとしてみており、
リスク比やオッズ比が求められる試験

<Study selection >
検索者についての記載なし

<Data extraction
2名が独立して行い、不一致は合意を形成した

<risk of bias>
特定の評価方法はとっていない

1.未調整のOR比を使用する、2.異質性の判定をP<0.1、
3.研究を除外した場合の統計的な影響を評価、4.いくつかの項目で層別化し調整
<出版バイアス>
ファンネルプロットとケンドール順位相関係数


<outcome>
大腸がん        OR 0.51 (0.37–0.69, P=0.46)  ← 2 cohort  4 case-control
異形成          OR 1.18 (0.41–3.43, P=0.18)  ← 1 cohort  1 case-control
大腸がん&異形成  OR 0.51 (0.38–0.69, P=0.38)  ← 3 cohort  6 case-control
*******************************


コホート研究と症例対照研究をメタアナリシスしてよいのかはよく分からない。
前のレビューでは個別に試験結果を記載してあった。



もう一個の方は全文が見れない↓
Am J Gastroenterol. 2012 Sep;107(9):1298-304

非紹介の4つの観察研究で、調整OR 0.95 (0.66-1.38, I2 = 58.2%)
9つの病院ベースの研究で、調整OR 0.58 (95% CI: 0.45-0.75)
とアブストラクトからだと結果が異なる様子。

比較対象が異なっている、紹介バイアスというやつかしら?



がんの予防になるかどうかは、確証がないのでなんとも言えないけれど、
寛解維持になるし、メサラジン製剤はきっちり飲むように指導することは大切なんだろうと思う。

しかし、いつも処方が来るたびに思うけれど、1日3回飲むのは大変そう・・・

2015年3月17日火曜日

葉酸が脳卒中を予防するらしい?


twitterのタイムラインでなんだか面白そうなのが流れていたのでチラっと読んでみた。

葉酸補充による脳卒中の1次予防だって。


****************************
 
P 40-75歳の心筋梗塞や脳卒中の既往のない高血圧症の男女
I  エナラプリル10mg+葉酸0.8mg
C エナラプリル10mg単独
O 初発脳卒中

中国江蘇省と安徽省で20702人を約5年追跡したRCT

<割付>
MTHFR C677T の遺伝子多型(CC, CT, TT)で層別化して
4例づつのブロック割付。治験薬管理センターに電話して割付。
<盲検化>
患者:〇、治療者:〇、評価者:〇、解析:?
<その他>
ITTで解析 COX比例ハザードモデルでハザード比を推定
サンプルサイズ:20337
 →脳卒中の発生率0.7%/年として、HR=0.8を検出するのにα=0.05,power=80%で計算
脱落率・・・葉酸群:16.7%、単独群:16.9%

<outcome>
初発脳卒中
  エナラプリル+葉酸  282/10348  2.7%
  エナラプリル単独    355/10354  3.4%
  HR:0.79 (0.68-0.93), NNT(4.5年):141
****************************

エナラプリル単独と比較して、葉酸を補充したほうが、
脳卒中が減少する傾向だそう。2次アウトカムの総死亡率はだいたい同程度だったみたい。
2万人のRCTってすごね。。

文中のMTHFRは、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素の略だそうで、
5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸 → 5-メチルテトラヒドロ葉酸
の反応を非可逆的に進める酵素だそう。
(図が分かりやすかった → http://epi.ncc.go.jp/mstudy/491/876.html
反応的にはビタミンB群を一緒にとったほうが良いのかも。

上記文献のSupplementary2で
MTHFRのCC(野生型)、CT(ヘテロ変異)、TT(ホモ変異)の遺伝子多型と
ベースラインの血中葉酸濃度で比較してみている表が面白い。
CC:葉酸足りていない人は取ったほうがよいかも?
CT:葉酸がよっぽど足りていない人は取ったほうが良いかも?
TT:全体的に補充したほうが良いけど、足りていそうな人の方が補充した場合の利益が大きい?

TTの表だけ腑に落ちないんだけど。。なんでそうなるのかね?


エナラプリルに追加の場合のNNTは114人(4.5年)だけど、
テレビでやっていたという食生活改善による活動だったらお金も余りかからないしよいのかなぁ。
脳卒中起こすと治療費も大きいから予防できたら、金銭的にもペイするのかも。
他の降圧薬への上乗せだったり、高血圧以外でも予防効果があるのかは不明。

そのうち検診で葉酸値を計ったりするようになったりして。笑




2015年3月15日日曜日

長時間作用型のベンゾジアゼピンの方が転倒が多いの?

 
 
ベンゾジアゼピン系抗不安薬の半減期の違いを先日調べたが、
半減期の長短で転倒リスクが異なるか?が気になったので調べてみた。
 
高齢者には、ふらつき、転倒の原因になるので、
長時間作用型は避けた方が良いというのは本当?
 
 
****************************************
Arch Intern Med. 2004 Jul 26;164(14):1567-72.
 
P ニュージャージー州のメディケイドに登録していた65歳以上の人
I  長半減期(T1/2≧20hr)と短半減期(高力価、低力価)のベンゾジアゼピン
C BZDを使用しない人
O 股関節骨折
 
<コホート>
アメリカのニュージャージー州のメディケイドに
6ヶ月以上続けて登録していた65歳以上の125,203人
<期間>
1987.1~1990.6
<交絡因子>
年齢、性別、人種、疾患、併用薬、介護施設入所の有無、骨折既往の有無
<outcome>
・股関節骨折
BZD非使用          11.29(件/1000人年)
長半減期BZD        12.62(件/1000人年) 調整RR 1.13 (0.82 - 1.55)
短半減期BZD(高力価)  17.82(件/1000人年) 調整RR 1.27 (1.01 - 1.59)
短半減期BZD(低力価)  22.63(件/1000人年) 調整RR 1.22 (0.89 - 1.67)
****************************************
 
長半減期の方が、日中も体内に残るからふらつきがでやすい
転倒による骨折も多い、と思っていたけれど、
単純な半減期の違いによってそこまでの違いはないみたい。
 
 
****************************************
J Am Geriatr Soc. 2005 Feb;53(2):233-41.

P ケベック州の65歳以上で1年間ベンゾジアゼピンの使用歴のない
I  ベンゾジアゼピンを新規に使用
C ベンゾジアゼピンを非使用
O 非脊柱骨折、軟部組織損傷、転倒関連の入院、その他入院
 
<コホート>
カナダのケベック州の公的保険のデータベースから
1989年1月時点でベンゾジアゼピンを使用していない人からランダムに抽出
1989年の間にベンゾジアゼピンを使用、死亡、施設へ入所した人を除外
253,244人をフォローアップ
<期間>
1990.1.1~1994.12.31
<交絡因子>
年齢、性別、怪我の既往
転倒リスクのある既往症、転倒リスクのある薬剤、骨折リスクのある薬剤
<outcome>
障害発生件数(骨折、軟部組織損傷、入院の合計)※結果の一部
BZD非使用     43,043件 / 930,939人年  46.2件/1000人年
アルプラゾラム      72件 / 1,377人年    52.3件/1000人年  HR 1.13 (0.90–1.43)
ロラゼパム        830件 / 13,699人年   60.6件/1000人年  HR 1.31 (1.22–1.40)
フルラゼパム      113件 / 1,303人年     86.7件/1000人年  HR  1.88 (1.56–2.26)
ジアゼパム        57件 / 1,222人年     46.6件/1000人年  HR 1.01 (0.78–1.31)
****************************************
 
こちらの試験は、
ランダムに抽出後の除外率が高いこと、アウトカムに入院も含まれているのが気になるけれど、
半減期よりは個々の薬剤の違いによって転倒リスクが異なるという結果みたい。
上記試験では、4種類のモデルで使用暦、使用量等も考慮して分析しているけれど、
あまり理解できないので省略。。(英語勉強しよ・・・)


どのベンゾジアゼピンが転倒リスクが高いとかは今後の試験待ち?
単純に半減期の長、短で転倒リスクが予測できないのなら、
普段の仕事ではどうしたらよいのかな?


ベンゾジアゼピンが高齢者に対して処方されていたら
一律にふらつき等の注意喚起をしても良いのかもしれないと思った。

2015年3月8日日曜日

血管年齢?に対するサプリメントってどうなの?

知り合いのおじさまから
血管年齢が高いと言われたんだけれど、なんか良いサプリはないか?
既に血圧の薬は飲んでいるんだけど、心配だから何か飲もうと思っている。
と問い合わせが来たので調べてみた。


そもそも血管年齢が何かを指すのかを知らなかったのでお勉強。

〇血管年齢って?
  CAVIを測定し、動脈硬化既往なしの健常者群の平均値と比較した場合の年齢
  血管年齢75歳=CAVIの測定値が、健常者群の75歳の平均値と同程度
  参考↓
  http://www.fukuda.co.jp/medical/support/arteriosclerosis/vascular_age.html

〇CAVIって?
  動脈の弾力性の指標で、血圧変化に伴う血管径の変化量を数値化したもの
  <8 で正常、9≦ で動脈硬化の疑いあり。8~9は境界域。
  加齢,内臓肥満,喫煙,高血圧,糖尿病,慢性腎臓病,腎透析,脂質異常症,
  メタボリック症候群,冠動脈疾患,脳血管障害,睡眠時無呼吸症候群などが上昇因子
  参考↓
  http://www.fukuda.co.jp/medical/support/arteriosclerosis/cavi.html
  http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_yamashina_d.pdf


血管年齢を改善→CAVIが下がる→動脈硬化が改善されているはず
という考え方でよいのかな?

血圧の薬はきっちり飲んでもらうことを前提にすると
病院で行う治療的な物を除くと
生活習慣の改善、食事の見直し、運動、減酒、禁煙が大切?



生活改善が重要でサプリメントは要らないよと答えるのも一手だとは思うが、
服用してみたいというご希望があるので、調べてみる。

なんかネットで検索するとたくさん引っかかってきてよく分からないなぁ。
EPA/DHA、ナットウキナーゼ、ラクトポリペプチド、葉酸、ルチン、イチョウ葉エキス、シトルリン・・・

主要な物を軽く調べてみた。


〇EPA/DHA
  有名なω3系の不飽和脂肪酸。医療用でもエ〇デールとか、ロ〇リガとかがある。
  JAMA. 2012 Sep 12;308(10):1024-33.
  
  システマティックレビューで、死亡と心血管イベントが減らないとされているので、
  血管年齢改善用サプリとしては微妙な気がする。

〇ナットウキナーゼ
  納豆に含まれる酵素で、血栓予防、血圧低下等が期待できるとのこと。
  日本ナットウキナーゼ協会より → http://j-nattokinase.org/nattokinase/
  Hypertens Res. 2008 Aug;31(8):1583-8.
  →プラセボ対照のRCTで盲検化もされていて、プラセボより血圧が低下したという結果

〇ラクトポリペプチド
  lactobacillus helveticusの産生するトリペプチド
  Val-Pro-Pro と Ile-Pro-Pro の総称で、血圧効果作用、血管機能改善等が期待できるそう
  カルピスが開発、商品化してる → http://www.calpis.co.jp/ameals/feature/about_ltp/
  Nutrients. 2015 Jan 20;7(1):659-81
  Am J Hypertens. 2013 Mar;26(3):442-9. 
  →RCTを対象にしたシステマティックレビュー(対象が限定なしと欧州)が2件あり、
   バラつきが大きかったり異質性が高かったりするけれど、血圧降下作用は多少期待できる?

〇葉酸
  核酸やアミノ酸合成の際に補酵素として働くビタミン
  ホモシステイン→メチオニンの反応を触媒して、
  ホモシステインを減らすことで動脈硬化予防になるとテレビでやったらしい
  http://www.tv-tokyo.co.jp/shujii/backnumber/140818/
  代謝反応をみるとビタミンB12を一緒に取ると効果的?
  Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jul 19;7:CD003285. 
  →コクランレビューによると臨床上のエンドポイントに関する結果はないが
   1件のRCTでABIの改善が認められたそう。

〇ルチン
  柑橘フラボノイド配糖体。ソバに含まれているので有名?
  昔から血行改善、血栓予防等が期待されるそう。
  Cochrane Database Syst Rev. 2013 Apr 30;4:CD005626.
  Cochrane Database Syst Rev. 2013 Apr 30;4:CD005625. 
  →コクランレビューでは、血栓予防、血栓治療に今のところ有効な試験はないみたい

〇イチョウ葉エキス
  イチョウ葉由来のギンコライド類の血小板活性因子阻害による血栓予防が期待できるそう。
  認知症や偏頭痛に対して試験は行われているみたい。
  動脈硬化に対しては不明。



自分が調べた感じだと上記のような結果だった。
月2000円~3000円かかるような場合が多いのかな?(個人的な感覚だと高い・・・)


とりあえず相談を頂いたおじさまには葉酸でも勧めてみようかな。
お酒飲む人だし、水溶性ビタミンで取りすぎの問題も少ないだろうし、
良く売っているサプリだから単価も安いし(2ヶ月分で500円くらい?)。

2015年3月3日火曜日

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の力価と半減期の比較


先日、地元基幹病院の薬薬連携の勉強会で
精神科のDrが、エチゾラムは依存が形成されやすいという話をしていた。

頓服、寝れないときなら良いけれど、
肩こりで1日3回飲んでいるような人はなかなか止められない。
エチゾラムは飲むと効いた感じと効果の切れる感じが自分でも分かるようなので、
患者さん自身が希望してリピーターになり、止めにくいと。

作用強度が強く(力価が高く)、半減期が短いものほど
依存が形成されやすいというのはよく聞く話なので
エチゾラムが他の薬と比べてどの程度か比較しようと思い調べてみた。


半減期は、インタビューフォームにほぼ載っていた。
 
作用強度については、GABAA受容体に対するIC50で比較しようと思ったら、
どのインタビューフォームにも載っていない。
IC50は調べるのが大変そうなので、ジアゼパム換算というのを参考にした。

ジアゼパム換算
 →ジアゼパム5mgと等価な各ベンゾジアゼピン化合物の用量。
   ベンゾジアゼピン化合物の用量をジアゼパムの用量に変換することで
   どのくらい服用しているか?が分かり易くなる。


<海外>
NHSのベンゾジアゼピンの等価量表
ベンゾジアゼピン離脱のためのアシュトンマニュアルを出しているところの等価量表
国内で使用されている物と使われている化合物が違うので、網羅できない。。
 
<国内>
一般社団法人 日本精神科評価尺度研究会
が2014年版の向精神薬等価換算を出しているらしいけれど、会員じゃないので見れない。。
ネット上に落ちていた2006年版というのを使ってみた。


 
 
↓まとめた表
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

↓グラフ化してみた
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
↓半減期24hr、等価量2.5mg以下くらいが、ゴシャっとして見づらいので軸を対数表示に
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
↓商品名の方が分かり易い?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


左下が高力値・短半減期、右上が低力値・長半減期。
左下に近いものの方が、依存が形成されやすいとされる。
(参考にした資料の数値が正しければ)エチゾラムはなかなかの左下ぐあい。


最寄のDrに相談してみるとしたら、
肩こりとか日中の慢性的なものに処方するような場合は
エチゾラムに代えてセルシン2mgでいかがでしょう?とかかなぁ。
処方日数制限も90日だし。鎮痙薬としても使われてるし。


ベンゾジアゼピン(チエノジアゼピンも)はよく処方されるだけに、難しいかなぁ。
相談するなら、短時間型と長時間型で転倒リスクが異なるか?を調べてみよう。
 
 
 

2015年2月7日土曜日

胃腸炎の吐き気にトラベルミンって効くの?

メトクロプラミドを服用中で吐気が収まらない患者さんに何を追加したらよいかな?

と先日最寄のクリニックから質問があったので、
安くて、めまいとか酔い止めに使うからと、トラベルミン配合錠の追加をおすすめした。
はたして回答が間違っていなかったか不安だったので調べてみた。


まずおさらいとしてトラベルミン配合錠の成分と類似薬は、以下。

トラベルミン ・・・ ジフェンヒドラミン + シプロフィリン(7-ジヒドロキシプロピルテオフィリン) 
ドラマミン ・・・ ジメンピドリナート → テオクル酸ジフェンヒドラミン → ジフェンヒドラミン + 8-クロロテオフィリン
レスタミン ・・・ ジフェンヒドラミン

ジフェンヒドラミンは第一世代の抗ヒスタミン薬で、
制吐作用は、前庭系→嘔吐中枢の刺激の伝播を阻害し、
術後やめまいの嘔吐には有効とされているらしい。



急性胃腸炎に対する制吐薬のコクランレビューがあった↓

*********************************
Cochrane Database Syst Rev. 2011 Sep 7;(9):CD005506

P 胃腸炎と診断され嘔吐のあった18歳以下の人
I  経口、静注、坐剤の制吐薬
C プラセボ(もしくは他の制吐薬)
O 治療してから嘔吐が止まるまでの時間

ジメンピドリナート(坐剤)1件、オンダンセトロン6件のRCTが該当
(期間~2010.7.20)

<outcome>
吐気が止まるまでの平均日数(1試験)
ジメンピドリナート坐剤  0.60
プラセボ           0.94
MD 0.34 (-0.66 to -0.02)
*********************************


オンダンセトロン(ゾフラン)がわりと良いみたい。
日本では適応が抗悪性腫瘍薬に伴う吐気で、薬価も高いけど。。

上記のレビューのジメンピドリナート坐剤のRCTは↓
Pediatrics 2009;124(4):e622–32.



上記レビュー後のジメンピドリナートの経口薬の試験があったので参照

*********************************
Pediatrics. 2012 Jun;129(6):1050-5

P 救急受診でそれ以前の12時間以内に5回以上嘔吐があった1歳~12歳の小児
I  ジメンピドリナート1mg/kg(max:50mg/回)を6時間ごとに経口投与
C プラセボ
O 治療の失敗数(投与後24時間以内に2回以上の嘔吐)

<割付>
可変ブロック割付。8歳未満、8歳以上で層別化
<盲検化>
患者:〇、治療者:〇、評価者:治療者と同じ、検定:?
<その他>
per protocol解析
脱落 68/152=5.3%
サンプル計算 α=0.05, power=80%
7つの secondary outcomes  P = value of .05/7 = .007

<outcome>
2回以上の嘔吐
ジメンピドリナート 23/74 = 31%
プラセボ       20/70 =  29% 
差 0.02 ( -0.12 to 0.17)
*********************************

比較的吐気が強く頻繁に嘔吐してしまう患者さんには効果ないのかも?という結果。
坐剤の方で見ている嘔吐が止まるまでの期間はoutcomeとして設定されていないが、
少し短縮傾向にあるみたい(有意差はなし)。

もっと軽度の患者さんにはどうなのか?は不明。


トラベルミンの組み合わせはなくて、ジメンピドリナートの試験しか見つからなかった。
成分から考えるとだいたい同じと考えてよい?



調べても結局よく分からなかったから、
先日のおすすめはあれでよかったのかなぁ。。