2014年8月18日月曜日

バファリンとバイアスピリンはどう違うの?

血栓の2次予防などでよく処方を見かけるアスピリン製剤。


バイアスピリンとバファリンの2種類があるけれど、
ふと気になったので、どう違うのか?を調べてみた。


各インタビューフォームより。

バイアスピリン錠100mg
アスピリン 100mg
腸溶性のフィルムコート錠(Enteric Coated Aspirin)
→胃で溶けないようにすることで、胃への負担軽減
単回投与時 Cmax:455.3(μg/L), Tmax:4.0(hr), AUC:542.2(μg・hr/L), T1/2:0.44(hr)

バファリン配合錠A81
アスピリン 81mg
ダイアルミネート(ジヒドロキシアルミニウム アミノアセテート + 炭酸マグネシウム)33mg
2層性の素錠(Buffered Aspirin)
→ダイアルミネートにより胃のpHが4-6に上昇し、アスピリンの溶解を促進、胃での吸収促進
単回投与時 Cmax:1185(μg/L), Tmax:0.39(hr), AUC:999(μg・hr/L), T1/2:0.40(hr)



バファリン330のインタビューフォームに
胃でのアスピリン結晶析出により胃壁障害と書いてあったけど、そんなの起こるんだね。
腸での吸収とか胃での吸収ってのも知らなかった。

調剤では、バイアスピリンは裸錠でも比較的安定で
バファリンは湿度、温度で外観変化と含量低下が起こる点が異なる。
フィルムコートと添加剤、ダイアルミネートによる影響?
あと一包化するときにバファリンのラミネート包装はあけるのが面倒。

名前の由来は、
Bayer's Aspirin → Bayaspirin
Buffered Aspirin → Bufferin
だって。

アスピリンのバイオアベイラビリティは高く、COX-1阻害作用も非可逆なので、
微妙な用量の違いはあまり気にしなくても良いかな?
(単回投与時のAUCが異なるのはバイアスピリンの吸収が遅いから?なんで?)



で、気になる胃腸障害については、

Int J Clin Pharmacol Ther. 2014 Mar;52(3):181-91.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24472400

というのを見つけたけど、全文が見れないので探したら
同じ先生が書いている↓があった。

****************************
医療薬学 Vol. 39 (2013) No. 8 P 471-481
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphcs/39/8/39_471/_article/-char/ja/

P 日本の保険診療を受けた人
I  腸溶性製剤を服用
C 制酸緩衝製剤を服用
O 消化管障害の頻度(傷病名の付与率)

害 後向きコホート

<期間>
2010年1月~12月
<データベース>
厚生労働省提供の
医科(入院外)と調剤のレセプトデータ

<結果>
全体  87,129,127人
腸溶性製剤を期間内に服用   3,935,743人
制酸緩衝製剤を期間内に服用 655,553人

PPIの併用率(年間平均)
 腸溶性製剤   24.0%
 制酸緩衝製剤 17.2%

傷病名付与率
・消化管障害全体
 腸溶性製剤   25.0%
 制酸緩衝製剤 23.2%
  ・胃潰瘍
   腸溶性製剤   23.0%
   制酸緩衝製剤 21.5%
  ・出血性胃潰瘍
   腸溶性製剤   0.31%
   制酸緩衝製剤 0.26%
  ・下部消化管出血
   腸溶性製剤   0.085%
   制酸緩衝製剤 0.062%

****************************

傷病名付与≠実際の有害事象の発生
なので、どっちが消化器障害を起こしやすいのか?を直接判断は出来ないかも。

全文が有料なので細かくは分からないが↓のようなのもあった。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8937281
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21501103
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22749649

多少、腸溶性製剤のほうが障害が多いかもしれない?
(それが日常で差が認識できるようなレベルかは分からないけれど)



そういえば、アスピリンとPPIの併用は上記でも併用率見ているし
なんか良くみるけど、問題ないのかな?
武田が合剤を何か出してたような。。

考えてみれば、よく見かける割に分からない事だらけ。

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