2017年2月17日金曜日

抗凝血薬+抗血小板薬の出血リスクは1剤と2剤ではどのくらい違うの


他病院でステントを入れて、抗血小板薬2剤を飲んでいるところへ
リバーロキサバンが追加になったおばあちゃんが、
別件で薬局をご利用いただいた際に顔が真っ青だった。
(転んだらしい)

付き添いの家族も心配していたので、
「高齢で歩様も怪しいので、また転ぶかもしれない。あざもひどいよ」
的な情報提供書をDrへ出したけれど、
抗血小板薬は1種類じゃダメなのか?が気になったのでお勉強。

DOACはあまり見つからなかったので、ワーファリンの試験をよんでみる。

RCT
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P 18歳-80歳の1年以上抗凝血薬を服用しているPCIが適応となる冠動脈閉塞のある患者
I   double-therapy:クロピドグレル75mg+ワーファリン(目標INR 2)
C triple-therapy:クロピドグレル75mg+アスピリン80-100mg+ワーファリン(目標INR 2)
O 出血エピソード
<割付>
1:1でランダム割付
配列はコンピュータで生成し、センターごとにブロック割付。
割付の隠蔽:封筒法
ベースライン:
<追跡>
ITT解析(フォローアップ98.3%)
1年追跡(中央値:365日、平均:358日)
1年後の治療継続率
 double-therapy
   ワーファリン  92.5%
   クロピドグレル 80.6%
 triple-therapy
   ワーファリン  91.2%
   クロピドグレル 78.9%
   アスピリン   66.5%
<盲検化>
オープンラベル
<Outcome>
出血エピソード 
 double-therapy   54 / 279 (19.4%)
 triple-therapy  126 / 284 (44.4%)
 ハザード比 0.36 (0.26 - 0.50)
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データベース解析のコホート研究
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P 2001/1/1~2011/12/31の期間に
  心筋梗塞またはPCIで入院した心房細動患者
E ビタミンK阻害薬 and/or 抗血小板薬(1種類 or 2種類)
C ビタミンK阻害薬
O 有効性:心筋梗塞死・心血管死、致死性/非致死性の血栓症
  安全性:致死性/非致死性の出血
<データベース>
デンマークの全国的なEHR
<追跡期間>
平均3.3年
<脱落・マスキング>
データベース解析のためなし
<交絡因子調整>
年齢、性別、組入年, 心筋梗塞/PCIの状態、
薬物治療、CHA2DS2-VAS、HAS-BLEDスコア
<Outcome>
出血(無調整)
VKA       3.9 (3.3–4.6) /1000人年
VKA+A+C 10.1 (6.8–14.9) /1000人年  調整HR 2.81 (1.82 - 4.33)
VKA+C    7.0 (4.4–11.3) /1000人年   調整HR 1.84 (1.11 - 3.06)
VKA+A    5.2 (4.7–5.8) /1000人年   調整HR 1.50 (1.23 - 1.82)
※VKA:ビタミンK阻害薬、C:クロピドグレル、A:アスピリン
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出血イベントは、当たり前だけど抗血小板薬2剤>1剤。
コホートの方が発生率は低め。
抗血小板薬2剤の方が1剤に比べて、死亡率も高そうなのは意外だけど、
RCTでもデータベース解析でも同じような傾向。
情報提供にプラスαして、
一緒にHAS-BLEDスコア(高齢、抗血小板薬併用、出血エピソードで3点)を記載したり、
何かしらのエビデンスを参考としてつけた方がより良かったのかも知れない。
あと、リバーロキサバンでこんなんもあるけど全文は見れない。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27959713

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